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学科長メッセージ

 
写真:国語国文学科学科長

好奇心を持ち、自分の頭で考え、
自分の手で調べ、自分の言葉で表現する。

国語国文学科 学科長
室城 秀之 教授

 

国語国文学科では、一年生のオリエンテーション・キャンプで、河口湖に行っています。その際、中央高速道をバスで行きます。ある時、道端にある看板に、区や市などの名前とともに、絵が描かれていることに気づきました。中央高速道は何度も通っていたのですが、それまでは外の風景を見ていてもまったく気になりませんでした。その気になって見ていると、どうも、区や市などの境界に、その区や市などを象徴するものが絵として描かれているようです。白百合女子大学のある調布市は神代植物公園のバラ、日野市は多摩動物公園のライオンの絵が描かれていました。この区や市などを代表するものはこれなのかと思いながらその絵を見ていました。なかには、なぜこの絵なのだろうかと疑問に思うものもありました。世田谷区の絵は、シラサギの花でした。私は、子どもの頃世田谷区民だった時があるのですが、区を代表するのがシラサギの花だとは知りませんでした。気になるとそのままではいられないので、東京に戻ってから調べました。昭和43年に区民の公募によって区の花として定められたということです。その背景にはさまざまな伝説があるようですが、戦国時代に、常盤姫という姫君が白鷺に姿を変えて両親のもとに飛んで行く途中で力尽きて地に落ち、サギの花になったということのようです。本学の池のまわりにも、初夏になるとサギの花が咲き乱れます。この話を知ってから、見馴れていたサギの花も、これまでと違った目で見るようになりました。

 

いつも見ている風景も、ある問題意識をもって見ると、それまでは気づかなかったことが見えてきます。文学作品や言葉でも同じことだと思います。何度も読んでいる作品でも、普段なにげなく使っている言葉でも、ある時、何かの問題意識をもって読んだり考えたりすると、それまで気づかなにかったことが見えてくる。それを、なぜなのだろう、どうしてなのだろうと考えることから、研究が始まります。いくら考えても調べても、必ずしも結論が得られるとは限りません。でも、真摯に考えたり調べたりしたという体験が貴重な財産になるはずです。

 

みなさんがこれから学ぶ学問は、試験問題のように初めから想定された〈正しい〉答えがあるかどうかはわかりません。むしろ、〈正しい〉答えなどない世界に、自分なりの答えを探し求めてゆくことになります。好奇心を持ち、自分の頭で考え、自分の手で調べ、自分の言葉で表現する。それが、これからみなさんが求められる力なのです。私たち教員も、みなさんに〈正しい〉答えを教えるのではなく、みなさんがもった問題意識を一緒に考えてゆきたいと考えています。

 
 
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