学びの内容

コバヤシ アキコ

小林 明子 教授(副学長)

専門分野

 日本近代文学、特に明治・大正期の文学(島崎藤村を中心に)、明治期以降、海外の政治、思想、社会状況、文学、宗教などが日本の近代文学に及ぼした影響に注目し、研究しています。

自己紹介・学生へのメッセージ

 日本近代文学とは、どの時代の文学を指すのかといいますと、明治時代以降のものになります。つまり明治、大正、昭和、平成、そして令和の時代に活躍した(している)文学者達によって創作された作品です。作品は、それぞれ固有の世界を形づくっていますが、それらは作者である文学者の問題意識や文章表現に対する姿勢によって、自由に構成、表現されています。明治期は日本の国家の在り方が、それ以前とは大きく変容した時期で、当時の日本人の日常生活や精神性に大きな変革をもたらしました。この流れは、時代が大正期以降になっても、状況や様態は違っても続いてきましたし、そのことは日本が国際社会のなかに存在していること、そして私達はそのなかで生きる存在であることを強く意識することにつながります。
 日本は海外諸国と多様な関わりをもち、人的交流を通して国際感覚を磨いてきました。多くの他者に出会ってきたわけです。その際に、自分自身とは異なる点を発見することがあります。文学作品との出会いも同じです。登場人物は皆が皆、共感を覚えることができるような人物とは限りません。作中でおこる出来事も現実味がないということもあるでしょう。そこに時代や年齢など、自分との間にある種の距離を感じるかもしれません。けれども、その表面だけを見るのではなく、隠れた奥深いところに潜むもの、それを見つめることが大切です。例えば令和の今から考えると、明治時代は大昔のように思うかもしれませんが、その時代を生きた祖先達がいて、彼らの経験があって、私達が生きる今があります。一見自分とは違うと感じる他者の発見は、自分自身の物差しだけで物事を捉えるのではなく、あらためて普遍的な問題を確認し、あるいはまた自分自身の価値観を再考する機会であり、広い視野と深い洞察力を育むことへ繋がります。文学作品を読み、考えることは、そうしたことを可能にする奥深い世界にふれることなのです。
担当科目
■国語国文学科
基礎演習(近代)Ⅰ、Ⅱ
国語国⽂学⼊⾨
総合研究Ⅰ、Ⅱ
テーマ別研究 Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ
卒業論文
担当科目の内容
■国語国文学科
◇基礎演習(近代)Ⅰ、Ⅱ◇
近代文学を研究するために必要な基本的な事柄や作業の方法について学び、実践を通して身につける授業です。また発表や討論に臨む際の基本的な態度についても指導します。

◇テーマ別研究 Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ◇
日本の近現代文学とキリスト教との関係について、その受容の様相を考察する。学生各人が設定したテーマについて、考察した結果を発表し、全員で討論することによってそれぞれの研究を深めます。
業績
■著書
『島村藤村 抵抗と容認の構造』
「『桜の実の熟する時』論ー真勢、玉木夫婦の造型が意味するものー」
「〈不変〉への信頼ー「旧主人」、「水彩画家」をもとにー」
「島村藤村「死の床」、「燈火」考」
「島村藤村「柳橋スケッチ」における〈海〉の意味」
経歴
■経歴
白百合女子大学文学部国文学科卒業
東京女子大学大学院文学研究科日本文学専攻修士課程修了(文学修士)
白百合女子大学文学部国語国文学科非常勤講師・専任講師・准教授
同教授(現職)

■所属学会
日本近代文学会
日本社会文学会
日本文学協会
島崎藤村学会
解釈学会
日本キリスト教文学会
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