シャルトル
聖パウロ修道女会

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   シャルトル聖パウロ修道女会 (5)
会の精神

「世人から忘れられて生きることの幸福、このためにすべてを犠牲にしたい。」
これがシャルトル聖パウロ会修道女の胸に秘める理想である。
とアベル・ガヴォ Avel Gaveau は言っている。

            (『シャルトル聖パウロ修道女会』 ルネ・ゴビヨ著)

このつつましい理想の陰に、フランス ボース県の一小村 ルヴェヴィル・ラ・シュナールに創立された
シャルトル聖パウロ修道女会は、3世紀を越える歴史の足跡を残しつつ、
キリスト教的愛の献身を世界の各地で続けてきた。

時空をはるかに飛び越えて、不孝な人びと、犠牲となった人びと、忘れられた人びと、
苦しむ者、泣く者、弱い者に母の手をのべて奉仕してきた。

それは、「互いに愛し合いなさい。」(ヨハネ13の34)とのイエス・キリストの教えを
身をもって具体化したものであり、“奉仕すること” は、聖パウロ修道女会としても、
また会員各自にとっても唯一の集団的、個人的意志である。

しかし、その永い 献身の業はいつも沈黙の厚いヴェールにおおわれて、会員たちは、
人目にたつことなく、おのおの胸底深くはぐくんできた「理想」を忠実に生き抜いてきた。

そして、この「黙々として活動する」 という会の気風は、そのささやかな起源と創立者たちの
堅実な精神に由来するもので、伝統的な遺産でもある。

修道女へのスタート <着衣式>

修道女になるためには修練院で2年間、そのための勉強・祈り・修行をする。
修練院に入るにあたっては、初めて修道服を身につける “着衣式” という儀式がある。
志願者は、キリストのものとなる象徴としての純白のウェディングドレス姿で式に臨み、
祭壇の前で、この世の飾りをぬぎすて、成聖への道を邁進すべく、制服が与えられることを願う。

ウェディングドレス姿の志願者たち 初めて修道服を身につけて感謝のミサにあずかる
※ 写真は、1960年シャルトル大聖堂で、司教の司式のもとに行われた着衣式。
注) 現在の着衣式では、ウェディングドレスの着用はせず、制服の授与だけが行われる。 


使徒聖パウロの至言、「生きているのは、もはやわたしではありません。キリストがわたしの内に生きておられるのです。」(ガラテヤの信徒への手紙2の20)は、いうまでもなく、聖パウロ修道女会修道女の高い理想ではあるが、同時に、清貧・貞潔・従順の三誓願によって神と親しい契りを結んだすべての修道者、ひいては、
「あなたがたの天の父が完全であられるように」(マタイ5の48) 完全さに向かって努力を傾ける
全キリスト者の標語でもある。

聖パウロ修道女会は、これに加えて、以下に述べる、3世紀余の伝統を誇る独特の精神を生き続けてきた。

使徒的精神  Esprit d'apostolat

スールたちはほかならぬ使徒として俗世のただ中で働きながら、
聖パウロの「わたしは、誰に対しても自由な者ですが、・・・すべての人に対してすべてのものになりました。
何とかして何人かでも救うためです。」(Ⅰコリント9の19,22)をみずからも生き抜くのである。
そこには、全面的な自己放棄を伴う、他者への限りない献身の精神が横溢している。
そして、時代、国、環境、人びとの特殊相に、自己を容易に順応させていく寛大な精神が強調されている。
しかも、この使徒的精神は、ひたすら、イエス・キリストを人びとに知らせ、愛させるために燃え立つ
純粋に超自然的なものであり、深い信仰と謙遜とに根ざすものでなければならない。
その上、「すべての人に対してすべてとなる」(Ⅰコリント9の22)のモットーを文字通り愛好して、世界の
どの果てにもおもむき、スールたちにゆだねられる一切の布教の労務にたずさわる雄々しさが含まれている。
すなわち「パウロの心は世界の心」・・・このはてしない、しかも、私心のない高雅な精神が、
聖パウロ修道女会にも豊かに脈打っている。

規則正しさ  Régularité

規則に対する全面的な忠実さは、聖パウロ修道女会において、修道誓願の遵守と深い祈りの生活とともに、
イエス・キリストとの一致に到達するため、必要かくべからざるものとされている。
教皇が仰せられた「完全に規則を守る修道者は、それのみで列聖される価値がある。それは、
規則を厳守するということだけで、まことの成聖の状態にあるからである。」との言葉も、
聖パウロ修道女会の力説する規則正しさに、ゆるがぬ確信を与えている。

質 朴  Simplicité

この点に関しては、内・外両面が強調されている。
一つは、まっすぐ神と真理とに向かわせる知恵の単純さと、神がそれを欲し給い、会則がそれを要求する故に、
人間的な議論も中傷も捨ててひたすら義務に向かわせる意志の質朴さである。
他の一つは、もったいぶることを避けて、慎しみと好ましいたしなみとを持した態度、常に正直で野卑もうぬぼれも知らぬ真実を語る言葉、故意の卑下も過度の親しみもなく節度を保って上品で礼儀正しい交際、および使徒的事業の多様性とその必要に応じつつも修道的清貧と尊厳とを維持し、かつ、家具や一切の使用物から世間的なものを遠ざけた、簡素な住居などにおける質朴さである。
スールたちは、この外的、内的質朴をわが身におびて、
「すべての人に対してすべてとなる」の崇高な至難な使徒職を全うしていくのである。

勤労の精神  Travail

聖パウロ修道女会の保護者使徒聖パウロも、異邦人の救霊のために大いなる熱意をもって働き、
その献身と奮発は限界を知らないほどであったが、いたずらに人の世話にならぬよう、
みずからの生計をたてるために労働に従事したのであった。
これは、イエス・キリストの「人の子は、仕えられるためではなく仕えるために来た。」(マタイ20の28)との美しい標語の実行だったのであるが、聖パウロ修道女会の修道女はこの勤労の精神と生活とをこよなく愛好している。
この精神は、創立者たちから、全修道女に遺産として与えられたものでもある。
最初の上長者の一人マレショー師も、死の数時間前に繰り返してこのことを強調している。
「もしあなた方が働くことを怠るようになっても、神がなおあなた方の生命を保ち給うなら、その一事だけでも本会を荒廃させるに十分です。なぜなら、働くことは、あなた方が聖パウロの模範にならって、他人に迷惑をかけず、できるだけの事を尽くして、貧しい人びとと子どもたちに、イエス・キリストを知らせる唯一の方法だからです・・・」と。それで、スールたちは、つつましい家庭の人たちのように、自分たちの生活を支えるために働き、
さらに、使徒として人びとを助けるために、労働にいそしむのである。
また、各会員の担当する職務はそれぞれ異なっていても、ただ、神の謙遜なはしため「スール」の名のもとに
働き、日々の労務を聖化していく豊かな祈りの精神を内に蔵している。

家族の精神・愛徳  Esprit de famille

これは、普通一般の健全な家庭の人たちが、その家と家族に対して捧げる愛情と尊敬と献身とをもって、
会員たちも修道会をわが家として愛し、育て、豊かにしていこうとする美しい精神であり、
「スール」すなわち姉妹の契りをもって会員同志が一致し、母なる上長のもとに、愛し、愛されているという
相互間の愛情の中に生きる精神である。この家庭的な暖かい雰囲気に強められて、
スールたちは、神のみ国のために惜しみない奉仕を続けていくのである。


以上に挙げた、聖パウロ修道女会固有の精神と修道精神とに鼓吹されて、子女の教育と、
貧しい人びとへの奉仕に生きつつ、神のより大いなる光栄の発揚とみずからの成聖を全うする生涯、
これが真のシャルトル聖パウロ修道女会修道女のつつましい一生なのである。

会の紋章


上の部分: 
ボース地方の黄金色に輝く麦の波を象徴する金色の地に、
4本の麦の穂が描かれている。創立時の最初の4人の姉妹たちの象徴である。麦の穂は、
「一粒の麦は、地に落ちて・・・死ねば、多くの実を結ぶ。」
(ヨハネ12・24)との聖書の言葉に由来している。

左の部分: 
地色の赤は、血の色であり、聖パウロの殉教を思い出させてくれる。
開かれている書物は聖書である。そこには、ラテン語で
 Omnibus omnia factus sum
(すべての人に対してすべてとなる)と書かれている。
剣は聖パウロを象徴するものの1つであり、「霊の剣、すなわち神の言葉を取りなさい。」(エペソ6:17)との教え、および、その殉教を示している。
黄金色の剣の握りは、神の言葉の豊かさを表し、先端は、戦に向かう軍の指揮官の剣のように、上に向けられている。

右の部分:
青色は、修道会の中心であるシャルトルの大聖堂の色であり、聖母マリアを象徴する色である。

盾の下部分には、修道会の標語
「RÉGULARITÉ(規則正しさ)」、「SIMPLICITÉ(質朴)」、「TRAVAIL(勤労の精神)」が掲げられている。

 (この紋章は1951年に制定された。)
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1. 発祥の地

ルヴェヴィル・ラ・シュナール
2. 創立者

ルイ・ショーヴェ神父
3. 修道会

1) 揺籃の家
2) 共同創立者
3) シャルトルへ
4) 海外宣教
5) 会の精神
6) 修道服の変遷
4. 日本における歩み

 1) 来日の背景
 2) 日本での始動/函館
 3) 東 京
 4) 新 潟
 5) 仙 台
 6) 盛 岡
 7) 八 代
 8) 片 瀬
 9) 強 羅
10) 鶴見・山形・他
5. 写真で辿るルーツ

1) ボース地方
2) ルヴェヴィルの教会
3) 揺籃の家
4) シャルトル大聖堂
5) シャルトルの母院
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