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科目一覧へ戻る | 2023/03/18 現在 |
科目名/Course title | 発達心理学特講B/Developmental Psychology B (Specialized Lecture) |
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担当教員(所属)/Instructor | 小林 亮 (人間総合学部発達心理学科) |
授業科目区分/Category | 発達心理学科専門科目 |
授業形態/Type of class | 講義 |
開講期/Semester | 2023年度/Academic Year 後期/AUTUMN |
開講曜限/Class period | 火/TUE 4 |
対象所属/Eligible Faculty | 人間総合学部児童文化学科/Faculty of Human Studies Department of Children's Culture,人間総合学部発達心理学科/Faculty of Human Studies Department of Developmental Psychology,人間総合学部初等教育学科/Faculty of Human Studies Department of Child Care and Primary Education |
対象学年/Eligible grade | 3年 , 4年 |
単位数/Credits | 2 |
副題 /SubTitle |
文化とパーソナリティ発達 ー 文化間の「正義の対立」を乗り越えるメタ認知の獲得を目指した地球市民アイデンティティの発達課題 |
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授業のねらいと達成目標 /Course Objectives |
この授業では主として文化心理学的知見を活用して、人間の発達過程が必ずしも「普遍的」ではなく、多くの領域で文化依存的であり、大きな文化差があることを考察してゆきます。この視点に基づき、以下の達成目標を設定したいと思います。 1)人間のパーソナリティ発達が文化依存的であることを理解できる。 2)自己のあり方の文化差およびアイデンティティの多元性を理解できる。 3)道徳的価値判断の文化差を知り、国際対立の背後に文化間の価値葛藤(正義の対立)があることを理解する。 4)文化間の価値対立を乗り越える葛藤解決能力とそれを支える地球市民アイデンティティの今日的意味を把握し、それに向けた実践的な発達支援方法を考えることができる この授業はディプロマ・ポリシィの「発達的な課題や危機を理解」に対応するものである。 |
授業概要 /Course description |
本講では、「文化とパーソナリティ」のテーマを扱います。人間がパーソナリティを形成してゆく過程で「文化」の要因は決定的な重要性をもっています。人間は必ず特定の文化環境に生まれおち、文化的バイアスのかかった教育を通じて社会化されることにより、特定のものの見方、態度、価値観、対人関係、コミュニケーション様式などを身につけてゆきます。急速に進行するグローバル化は科学技術や経済システムの均質化をもたらしましたが、パーソナリティに関しては文化差が厳然として存在し、異文化間の相互理解を難しいものにしています。この授業では、とくに自己とアイデンティティの発達に焦点を当て、私たちの自己が文化的文脈との関わりでどのように形成されてゆくかを考察します。さらに文化は価値システムだという観点から、道徳的価値観の発達が文化とどう連関しているかも検討します。現在、国際対立が尖鋭化していますが、その背後に道徳的価値の文化差に起因する「正義の対立」が生じていることが見逃せません。本講では文化対立を乗り越えるメタ認知の獲得に向けた葛藤解決能力にも焦点を当て、現代人の発達課題を地球市民性の観点から探究してゆきます。 |
授業計画(授業の形式、スケジュール等) /Class schedule |
第1回:導入:パーソナリティ発達における文化の意味 第2回:意味空間としての文化 ー 人生の意義の規定要因 第3回:文化と自己 ー 文化的自己観と自他関係のモデル 第4回:自尊感情と文化 ー 欧米人の自己高揚と日本人の自己批判 第5回:道徳性の発達と文化 ー コールバーグ理論の批判的検証 第6回:「文化変容」と移行体験 ー 発達過程としてのカルチャーショック 第7回:アイデンティティ発達と文化1 ー エリクソン理論と生涯発達 第8回:アイデンティティ発達と文化2 ー 社会的アイデンティティ理論 第9回:アイデンティティ発達と文化3 ー 多元的アイデンティティと地球市民性 第10回:ユネスコの地球市民教育(GCED)と葛藤解決能力の発達 第11回:「正義の対立」とメタ認知の探究1 ー 東アジアの事例 第12回:「正義の対立」とメタ認知の探究2 ー ヨーロッパの事例 第13回:「正義の対立」とメタ認知の探究3 ー 国際イベントの事例 第14回:文明の衝突の克服に向けて期待されるパーソナリティ像 第15回:まとめ:対立と分断の時代に求められる新たな発達支援のあり方を問う |
準備学習・履修上の注意 /Notices |
1)自分自身のものの見方や感じ方、価値観や人生観に内在する文化的バイアスについて批判的に見つめなおす姿勢を持って頂きたいと希望します。 2)「地球市民」というのは具体的にどのような人を指すのかを常にイメージしながら学びを進めて頂きたいと思います。 3)受講生の方々との共同探究型の授業にしたいと願っているので、私の話題提供に対する質問、反論、提案を大いに歓迎します。 4)人間の発達に関して、「答えの出ない問」をできるだけ考えてみて下さい。 各回の授業外学習時間(予習・復習)には4時間程度かかると想定される。 【授業外学修の内容】 毎回の授業の振り返りを行うこと。授業において指示した課題を行うこと。 |
教科書・参考書等 /Textbooks |
【教科書】 教科書はとくに使用しません。それぞれのテーマについてお奨めの参考文献、参考資料を適宜、ご紹介してゆきます。 |
成績評価の方法 /Evaluation |
【評価方法】 期末レポート(70%)を中心に、授業中のプレゼンテーション(30%)を加味して成績評価を行います。 【評価基準】 1)パーソナリティ発達の文化依存性についてどれだけ深く理解できているか、また2)文化間の価値葛藤(「正義の対立」)に対してどれだけ創造的に葛藤解決へのアプローチを提示できるか、を評価基準にします。 【課題(試験やレポート)に対するフィードバックの方法】 受講学生のみなさんに、どのようなフィードバックの方法を望んでいるかを確認した上で、それに従い対応させて頂きます。 |
備考 /Notes |
【討議(ディスカッション、ディベート)を取り入れている】 アイデンティティの発達および道徳性の発達に関連して実際の価値葛藤事例をいくつか紹介し、それについてディスカッション、ディベート、コンセンサスゲームなどのグループワークを行う予定です。 |