英語英文学科
倉住 修 (准教授)
自分自身のより良い学習スタイルを確立する。
これが語学の習得への第一歩につながります。 PROFILE |
まずは先生の学生時代についてお聞かせいただけますか?
僕は65年生まれのいわゆる「新人類」と言われた世代。物心ついたころからテレビがあった世代ですから、テレビの影響は大きく受けました。昔は『チャーリーズ・エンジェル』とか『白バイ野郎 ジョン&パンチ』みたいなアメリカ製のドラマがよく放送されていましたから、そんな番組を観ながら、英語のセリフに「かっこいいな〜」とか「アメリカっていいな〜」なんて憧れちゃって…。大学は英語を専門的に勉強するために岡山から上京して英語学科に入りました。それが思ったよりレベルが高くてね。英語については結構自信があったんだけど周囲を見渡してみると、もっとできる人がゴロゴロいるわけですよ。すっかり意気消沈しちゃって、1年間ぐらいはあまり勉強にも身が入らなかった。だからサークル三昧でサッカーばっかり。キャンパスが近いこともあって国立競技場なんかにはちょくちょく足を運んでました。Jリーグが始まるずっと前の話ですよ。木村和司の伝説のフリーキックとか生で観てたんです! えっ、いまの高校生は知らないって? そうですね。勝手に盛り上がっちゃってすいません(笑)。
しかし、どこかで“もう一度チャレンジしてみよう”と思う何か「きっかけ」があったわけですよね。私などはきっかけもなくズルズルといってしまったパターンなのですが…。
僕の通っていた大学はサマースクールを開いていて、毎年夏休みに5週間ぐらい留学生が来るんです。2年生と3年生の夏休みに、その留学生のためのガイドをやったんですね。住み込みで5週間みっちりネイティヴの人と話したことで視点が変わりました。その後ロサンゼルスの友達を訪ねていった時、いろいろな人に「君はいろんな言語にチャレンジしているんだね」と言われて、あらためて「自分は言葉が好きなんだな」って…。言語教育で大学院を目指したのは、指導教官の専門分野が言語教育だったこともありますが、もっと英語が上手くなりたかったから。「だったら言語教育を勉強すれば、もっと上手くなる方法が見つかるんじゃないか」ってね。なんて自分本位なんでしょうねえ(苦笑)。博士課程に進むことに疑問を感じて、言語学の修士課程を修了した後は、アメリカのモントレーにある大学院の修士課程にあらためて入学し、第二言語習得と実践的な英語教育の手法について学びました。 ”好きこそものの上手なれ”という格言がありますが、「英語」が好きだからこそ、次のステップを求め続けられたと思います。
でも、「英語が好きだけどなかなか上手くならない」と悩んでいるひとも多いですよね。実際、白百合で教鞭をとられていても、そういった相談は多いと思いますが、そんなとき先生はどうアドバイスされているのですか?
これをやれば絶対なんていうものはありません。誰にでも効く万能薬があればみなさんだって苦労しないし、書店の英会話コーナーにあれほど多くの本は並ばない…でしょう?
語学の習得については、本人の性格やこれまでの学習歴などが複雑に絡み合っていますから、それを一つひとつ紐解きながら、そのひとに合ったアドバイスをしていくしかないんです。
でも、語学の習得が比較的上手くいっているひとをみていると、自分自身の学習スタイルが確立できているケースが多い。ですから、敢えて言うなら、「いかに自分に合った学習スタイルを見つけ出すかが鍵」ということになるでしょう。語学に限らず、勉強が上手くいかないひとに限って、今持っている学習スタイルに固執する傾向があるんです。結果が残せていないわけだから、早く次の学習スタイルにチャレンジすればいいのに、悲しいかな、捨て切れないんですね。日本人の思考は概して保守的ですから特に…。だから、僕の授業では、まずはいろいろな学習方法を学生に提示することを心掛けています。決して「この方法でやれ」というお仕着せでなく、さまざまな手法の中から自分に合ったものを自分自身で見つけ出してもらうことに主眼を置いています。ここがしっかりしていないと、無理して積木を積み上げていっても限界があるんです。
なるほど。自分自身に照らし合わせるとよくわかります。『○○上達法』みたいな本を買って、読んで「なるほど」と思う。ところが実際に実践できているかというと、いろんな理由をつけて、元のやり方に戻っちゃうんですね。そして今度は『60日で○○ができる!』みたいな本を買ってくる…。懲りないんですよね(笑)。
英語力という意味では、白百合の学生は学習態度も良く、素直に物事を受け入れてくれるので、1年次からグンと伸びるひとが多い。ただし、英語力だけでは実社会で仕事をこなすことはできません。2年次以降になると、学びの幅が広がると同時に、自分がほんとに望んでいたことが何だったかが見えてきます。ただ単に憧れだった職業が、その中身を知り、具体的にどのような力が要求され、そもそも自分自身に適性が備わっているかどうかを考えはじめることで、よりリアルに捉えられるようになるはず。白百合ではさまざまな学びの場をとおして、社会において必要な、思考力や理解力、コミュニケーション能力を養うことができますから、白百合の英文を目指す方には語学力だけに拘らず、トータルな力を養うことを意識してもらいたいですね。
どうもありがとうございました。
(聞き手 / 「アンシャンテ」編集部 2004年7月22日 研究室にて)



