フランス語フランス文学科4年 A・Y
Institut Catholique de Paris
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パリでのあるできごと
アートや映画、モードと、フランスのさまざまな文化にとにかく興味があったので、留学先は迷わずパリを選びました。しかし、一人で外国に住むのは初めてで、最初はうまくコミュニケーションがとれず悩み、苦しいときもありました。でも今思えばそれは誰もが感じることで、仲間同士みなだんだんと慣れていきます。好きにならずにはいられない、気がつくと私はパリの不思議な魅力に惹かれていました。
だいぶパリの暮らしにも慣れたある夕方。
市内の図書館から郊外の寮へ帰宅するため、私はバスに乗っていました。
シテ島の停留所に止まりドアが閉まる直前、乳母車を押したマダムが歩道の向こうから全速力で走ってきました。しかし、運転手がそれに気づかずバスを発車させると、乗客全員で大ブーイングが起こったのです。気づいた運転手の方もまた停車しドアを開け、近くにいた乗客が乳母車を上げるのを手伝い、再びバスは発車しました。交通ルールのことを考えれば運転手の最初の行動は間違ってはいません。しかし、それよりももっと大切に深い所で根付いている彼らのルールを私は初めてそこで感じたのです。
パリジャン、というと付き合いづらいというイメージがありますが、やはりフランスは「自由と平等と博愛の国」だ、と静かな感動を感じました。
そしてセーヌ川を渡る時に全身で夕焼けに溶けるパリの街を見て、この街の不思議な魅力の秘密が少し分かったような気がしました。
その思いは、いつまでも私の心を捉えて離さないのです。



