教員紹介

 

海老根 龍介 准教授

専門分野 19世紀フランス文学、特にボードレール。19世紀という時代を特徴づける「進歩主義」の考え方が、芸術のあり方にどのような影響を及ぼしたのか、また作家たちは作品を通して科学や産業の進歩を称える当時の社会に対して、どのような批評的距離をとろうとしたのかという問題を、詩人ボードレールを例にとって考えた博士論文が私の研究の出発点です。今後は他のさまざまな作家にも関心を広げ、19世紀という時代と文学・芸術の間にある関係のさまざまな面について、より掘り下げて勉強していければと思っています。


担当科目 フランス語IA
フランス語IIA
フランス語IIIC
フランス文学演習D
特殊講義
担当科目の内容 ◇フランス文学演習D◇
ドン・ジュアン(国によって、ドン・ファン、ドン・ジョヴァンニなどとも呼ばれる)は、スペインに起源を持つ神話的な人物で、その後、ヨーロッパのさまざまな芸術で描かれ続けてきました。愛欲を満たすために、相手の女性の立場や気持ちはおろか、社会的あるいは宗教的な決まり事をことごとく蹂躙する、傲岸な不信心者というのが基本的な人物像ですが、歴史状況や作家の考え方に応じて、その性格は多様なヴァリエーションを示してきます。この授業では、モリエール、モーツァルト(ダ・ポンテ)、バイロン、ホフマン、バルザック、メリメ、ミュッセ、ボードレール、キルケゴール、カミュなど、フランス以外の国の作家のものも含めたさまざまなドン・ジュアン像を、歴史状況の変化とかかわらせながら理解していきます。

◇特殊講義◇
エミール・ゾラの『ボヌール・デ・ダム百貨店』を読みます。この小説は、ノルマンディーの地方都市からパリに出てきたドゥニーズという貧しい娘と、『ボヌール・デ・ダム』というデパートの経営者であるオクターヴ・ムーレとの恋愛を描いています。ひとりの貧しい女性を主人公としたシンデレラ・ストーリーとして楽しんで読むことができますが、大きなデパートが小さな商店をけちらして成長していく資本主義の運動の怪物的側面を、ほとんど神話的ともいえる筆致で壮大に描き出した作品ともいえます。女性の生き方や恋愛、商業と消費、歴史の中の人間など、考えるに値するさまざまなテーマを内包した、まことに取り組みがいのある小説だと思います。授業では、この小説を2回で1章のペースで読み進めていきます。2回のうち1回は、担当者に要約をしてもらったり、関連するテーマについて調べごとをしてもらったりします。もう1回は、とくに重要な箇所の抜粋をじっくりと精読します。学年末に、小説を読むことを出発点として何かを考えたと、それぞれが胸をはっていえるようになっていることが、この授業の最終的な到達目標です。
自由記述欄 ■自己紹介
東京日野市生まれ。5歳のときに多摩ニュータウンの団地に引越し、中学生時代のごく短い海外生活を除けば、25歳で本格的に留学するまでずっとそこで暮らしました。留学には、少し勉強をしてその後のための資料を集め、見聞も広げられればといささか軽い気持ちで出かけたものの、いざ研究テーマを絞り込み調査を開始すると、きちんとした成果をあげて帰国したいと強く思うようになり、生来の要領の悪さも手伝って、博士論文を書き上げるまで、結局8年もの長きに渡ってフランスのパリで生活することになりました。帰国後はいくつかの大学で非常勤講師をしていましたが、2006年度から専任教員として白百合の教壇に立っています。恵まれた環境で学生のみなさんと一緒に勉強ができることを大変うれしく思います。

著書

■著書
・『白百合で学ぶフランス文学』(共編著、弘学社、2011)
・Baudelaire et les formes poetiques(共著 Presses universitaire de Rennes、2008)
・『人間と動物をめぐるメタファー』(共著、弘学社、2008)



■主な論文
・「写真・レアリスム・想像力ー後期ボードレール美学の一断面」(『仏語仏文学研究』第23号、2001)
・「革命と悪ーボードレールの1848年」(『仏語仏文学研究』第32号、2006)
・「美学の倫理化か、倫理の美学化かーボードレールの『モデルニテ』再考」(『白百合女子大学研究紀要』第42号、2006)
・「『編集長精神』の時代の文学ーボードレールとジャーナリズム」(『フランス近代詩とジャーナリズム』、科学研究費補助金報告書、2007)
・「頽廃と自由ー阿部良雄をめぐって」(『水声通信』6月号、水声社、2007)
・「挑発とカムフラージューボードレールの『反レアリスム』」(『文学』11-12月号、岩波書店、2007)
・«Baudelaire et le progres indusutres : un debat litteraire dans les annees 1850»(L'Annee Baudelaire,n13-14,Paris,Honore Champion,2011,a paraitre)

経歴

東京大学大学院博士課程単位取得満期退学、パリ第四大学文学博士。白百合女子大学非常勤講師、一橋大学非常勤講師、白百合女子大学専任講師を経て、2009年より現職。

 
 
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