キャリア支援

国語国文学科Bさん(演劇興行会社内定)

大好きな演劇をたくさんの人に観てもらいたい

演劇との出会い

高校・大学と演劇部に所属していました。お芝居好きの母に連れられて、小さいころからたくさんの舞台を観てきたことが、そもそもの演劇との出会いでした。初めて舞台に立ったのは、中学生のとき。友達と一緒に10分ほどの劇を作りました。学校の合唱コンクールの最後に上演できるよう先生と交渉し、脚本は自分たちで練り上げました。思い返すと恥ずかしいほどの内容でしたが、今まで「客席側から観るもの」だった演劇が「舞台から魅せるもの」に変わった、私にとっての大きな転機でした。

好きなだけでは舞台は作れない

高校では部長、大学では副部長を務めました。部員が少なかったので、小道具や衣装の準備、照明、演出など、一人ひとりが担当することがたくさんあり、とてもやりがいがありました。ただ、個性的な人が多い演劇部での人間関係に悩み、正直、面倒だなと思ったこともありました。そのときは、部のゴール・目標を明確にして、それに向かって前進して行けるように部員に働きかけました、「良いお芝居を作りたい」という思いは、みんな同じなので、それを共有すればまとまるのではないかと考えたんです。好きという気持ちだけでなく、人とのかかわり方や物事の進め方などを工夫しないと、物事はうまく進まないんだなと感じました。その分、舞台が完成したときの喜びは大きかったです。

演劇から得たもの

ある公演が終わった後、部員の一人から「この公演を通じて自分は成長できなかった」といわれ、とても落ち込んだことがありました。原因は自分の「抱え込みすぎ」です。副部長という責任ある立場に立って、何でもかんでも自分が頑張らなくてはと意気込みすぎてしまったのかもしれません。そもそも舞台は一人で作るものではなく、様々な人の様々な力を結集して作り上げて行くものです。改めてそのことに気付かされ、自分のやり方を見直しました。それからは、仕事を分担し協力していくことを大事にするようになりました。

元々は、人前に立つことはあまり得意ではありませんでしたし、人をまとめて行く立場につくことも、できるだけ避けていました。でも演劇を作る楽しさを知ってからは、創作活動を通じて積極性が身についたと思います。演劇は、私の根幹を支える大事なものになりました。

ことばの使い方を学ぶ

大学で国語国文学科に入ったのも演劇のためでした。「どうやったら自分の演技が観客に伝わるか」を突き詰めて行くと、日本語を学ぶ必要があると思ったんです。また、部員に「こういう演技をして欲しい」という指導をする際に、言葉で説明したり、質問をして相手に気付いてもらうという方法をとったのですが、そういうときにも、「言葉をどう使うのか」ということがとても重要になってくるんです。

白百合女子大学では、1年次から少人数制の授業が設置されていて、発表や討論の場がたくさんあります。また、2年生のときには「国語学概論」が必修科目になっていて、「音」「文字」「語彙」「文法」「敬語」など、様々な側面から日本語を学びなおします。同じ文学作品や言葉でも、ひとによってとらえ方・感じ方は様々ですが、授業を通じて自分以外の人のものの見方に多く触れることができたのは、とても良い経験でした。日本語の面白さとともに、自分が発することばの重みを実感しました。きっかけは演劇でしたが、大学で学んだ知識や考え方は、今後の自分にとても役立つものだと思います。

演劇を仕事にしたい

大学に入った当初は、就職のことはあまり身近には考えていませんでした。大学3年の5月に、キャリア支援課の就職ガイダンスを受けて、ようやく自分のこととして考え出し、初めて自分が好きな演劇と仕事が結びついたんです。早速、映画や演劇の興行会社を中心に活動をはじめました。ただ、なかなか内定は出ませんでした。何度も見直した書類の選考がなかなか通らなくて、「志望業界を変えたほうがいいのかもしれない」と考え直し、他業界も受け始めました。学内で開かれた説明会・選考会にも参加したことがありました。それでもやっぱり、演劇に携わる仕事がしたいという思いはあきらめきれずにいました。

こんな状況でしたから、活動中はかなり辛い時期もありました。そういう時は、就職活動をしていない留学中の友人に話を聞いてもらったり、舞台の上に立ったりして、気持ちの整理をつけていました。また、4年生の夏頃、キャリア支援課の方に「ちょっと休みなさい」と言われたんです。大学の方にそんなことを言われてびっくりしましたが、アドバイスどおり就職活動をお休みして、自分の好きなことをして過ごしました。結果的には今回内定を頂いた企業の選考がその後にあったので、直前に気分転換ができて良かったのかもしれません。

家族のようなキャリア支援課

内定企業に応募したときは、「これでダメなら、もうあきらめて別の業界に的を絞ろう」という少し切羽詰った気持ちでした。ただ、エントリーシートの内容は、演劇や自分自身についての設問が多く、もともと大好きな演目ばかりだったので書いていてとても楽しかったですよ。面接前には、キャリア支援課の方に何度もシミュレーションをしていただきました。二次面接を受けるときには、「変に取り繕ったりせずに、自然体でいるように」とのアドバイスをもらい、良い意味で力を抜いて臨みました。

後から聞いたのですが、担当の方だけでなくキャリア支援課全体で私のことを気にかけてくれていて、内定の知らせには皆さんで喜んでくれたそうです。私の両親は就職についてはあまり干渉しなかったので、キャリア支援課のほうが家族のように喜んでくれたのではないでしょうか。

内定が出たのは10月です。前年の12月から始めて約10カ月と時間はかかりましたが、最終的には大好きな業界に決まって、本当にうれしいです。途中で投げ出してしまっていたら、別の業界で働くことになっていたかもしれません。支えてくれた友人やキャリア支援課の方、演劇に出会わせてくれた両親にとても感謝しています。

演劇のおもしろさを伝えたい

就職後は、自分は舞台に立つわけではありません。でもお客様に演劇を楽しんでもらうためには、演者以外の多くの人の存在が不可欠です。どのような立場にあっても、様々なお客様にお芝居を楽しんでもらいたいという目的は同じです。演劇を支える一員として、たくさんの人に劇場に足を運んで頂き、そのおもしろさを知っていただきたいです。

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