学びの内容

ニムラ ジュンコ

二村  淳子 准教授

専門分野

 比較文学・比較文化論、美学・芸術論、仏語圏文化研究、カルチュラル・スタディーズ。20世紀前半の(日本を含む)アジアとフランス語圏の交流、交渉、摩擦、文化の翻訳。
 越境・連鎖・伝播していく文化の動態を、フランス語を中心とした複数言語によるアプローチによって細々と研究しています。

自己紹介・学生へのメッセージ

静岡県生まれで、お茶(深蒸し緑茶)を愛しています。猫好きです。
これまで、留学や仕事で、いろいろな場所に住みました。海外では、ロンドン、パリ、ボルドー、香港、上海、オセール。旅行では40か国以上を訪れました。
旅や研究は勿論のこと、人生においても、外国語は、いつでも私の「羅針盤」です。情報収集能力やコミュニケーション能力を私に与えてくれただけでなく、私の偏狭な世界を押し広げてくれました。フランス語によって自分に「複眼」ができ、既成概念からも解放されました。母国語は大事ですが、その中だけに閉じこもる人生は勿体ないと思うのです。
担当科目
■文学部 フランス語フランス文学科
フランス語コミュニケーションⅡB
フランス語総合ⅡA
フランス語総合ⅠC
フランス社会研究C
フランス生活文化演習ⅠC
フランス生活文化研究G
専門ゼミ
担当科目の内容
■文学部 フランス語フランス文学科
◇専門ゼミ◇
 「ガストロノミ」という概念に焦点を当てながら、食文化およびフランス文化についての理解を深めることを目指します。具体的には、18世紀から現在までの社会背景を踏まえつつ、人々がどのように「食」を生活・芸術に取り入れてきたのかを学び、人文的見地から食を考察・分析する方法や視点を獲得していきます。
 欧米では、食に焦点を当てた学際的研究が盛り上がっており、大学においても、Food StudiesやGastronomyとして専門科目やコースとなっています。また、新しい切り口の食に関する雑誌も発刊されています。家政学や農学などの限られた領域に閉ざされがちな食の研究を開いていきましょう。

◇フランス生活文化研究G◇
 この授業では、フランスの生活と密接に関連して生成された「シノワズリ(中国趣味)」、「ジャポニスム(日本趣味)」、「スティル・アンドシノワ(インドシナ様式)」などの様式を取り上げます。これらの様式がどのような背景によって生まれ、どのように発展し、いかに消費されたのかを追いながら、フランス的な思考と価値観がどのようなものであるかを自ら探る思考力を養っていくことをねらいとします。
 「シノワズリ」や「ジャポニスム」などは美術史用語として用いられていますが、そもそも「美術」様式であるまえに、生活を豊かにしようとする運動から生まれた装飾の様式です。東アジア(中国、日本、ベトナム)とフランスという異なるエリアの交渉が焦点となりますので、比較文化研究の視点を学びながら影響・受容関係を踏まえつつ分析していきます。授業では、毎回受講者の皆さんからの口頭コメントを求めます。
業績
■主な著書(単著)
  • 『常玉 モンパルナスの華人画家』,亜紀書房,2018年7月。
  • 『クスクスの謎』,平凡社新書,2012年1月。
  • 『かわいいモロッコ—雑貨と暮らし』,ピエ・ブックス,2008年6月。
  • 『ふだん着のパリ住まい』,エクスナレッジ,2007年10月。
  • 『手わざが光るモロッコ暮し』,エクスナレッジ,2007年10月,
  • 『フレンチ上海』,平凡社,2006年7月。
  • 『パリで出会ったエスニック料理』,木楽舎,2006年6月。
  • 『Avec ma maman—子どもと行くパリの旅案内』,リトルモア,2005年9月。
  • 『おいしいフランス語』,三修社,2001年12月。
  • 『しぐさで伝えるフランス語』,三修社,2001年3月。
  • 『「ねこ式」フランス語会話』,三修社,2000年9月。
  • 『パリを遊びつくせ!』,原書房,2000年3月。

画像:『常玉 モンパルナスの華人画家』表紙  画像:『クスクスの謎』表紙  画像:『「ねこ式」フランス語会話』表紙


■主な論文(順不同)
  • «La Conception des beaux-arts par les intellectuels vietnamiens » Toward the Future: Museums and Art History in East Asia, Proceedings of the 2019 Comité International d'Histoire de I'Art, 2020.
  • “Adoption and Development of Popular Images in Mai Thứ’s Paintings: A Consideration for Modern Vietnamese Genre Painting” VERBA 鹿児島大学言語文化論集, n.43, pp.34 – 56, 2019.
  • 「ファム・クインと岡倉覚三のルネサンス: 東アジアにおける「古典」の創出と近代化」『比較文学』、56号、2014年、 20~34頁。
  • 「安南藝術からベトナム美術へ-フランス統治下の半世紀 」東京大学大学院 総合文化研究科 博士学位論文、 2019年。
  • 「ベトナム人画家ナムソンの美術論:『中国画』への一考察」『第67回美学会全国大会 若手研究者フォーラム発表報告集』、2017年、55~64頁。
  • 「植民地美術行政における海賊的教会侵犯 : インドシナ美術学校とベトナム画家の『怪帆の術』」、稲賀繁美編著 『海賊史観からみた世界史の再構築』思文閣出版、2017年。
  • 「パリ仏越派:20世紀ベトナム絵画への一考察」,『超域文化科学』,東京大学大学院総合文化研究科、17巻、2011年、155~179頁。

■主な翻訳書
  • パティ・スミス『ジャスト・キッズ』河出書房新社,2012年12月。
  • アニエス・ジアール『エロティック・ジャパン』河出書房新社,2010年12月。
経歴
東京大学大学院(総合文化研究科)博士課程 単位取得満期退学。博士(学術)。鹿児島大学講師、東京都立大学非常勤准教授、国際日本文化研究センター客員准教授を経て、2021年度より現職。
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