白百合について

学長室の窓から No.37

2022年9月30日

姉妹校訪問—盛岡編
 

白百合女子大学
学長 髙山 貞美

9月も終わりを迎え、後期の授業が始まりました。
日に日に太陽が早く沈むようになり、夕方になると緑ヶ丘では虫の音の大合唱です。東京ドームとほぼ同規模のこのキャンパスに、いったいどれくらいの虫が棲息しているのか知る由もありませんが、緑豊かな環境の中で数えきれない生命が息づいています。秋の夜長に虫たちの声に耳を傾けると、それはまるで神さまを賛美する喜びのハーモニーのように聞こえます。

8月19日(金)、初めて岩手県の盛岡白百合学園へ行きました。岩手県と言えば、石川啄木、宮沢賢治、遠野物語、小岩井農場などの名前がすぐに思い浮かび、また最近では大リーグで大谷翔平選手が大活躍していることからも心の中で親近感を抱いていました。盛岡駅からタクシーで15分間(約5.5km)走り続けると、美しい山の中腹に盛岡白百合学園中学高等学校が現れました。夏休み中の部活なのでしょうか、途中で1人の生徒がふもとのバス停から学校に向かって登り坂をテクテク歩いているのを見かけました。気温は29度あり、東北としてはかなりの蒸し暑さでした。

今回の訪問の目的は、教職員(幼・小・中・高)の研修会に招かれ、「建学の精神」についてお話しするためでした。盛岡白百合学園は1892年、4名のスールによって私立盛岡女学校が設置されたのが始まりです。幼・小・中高にそれぞれ教育目標があり、同じく校訓があります。中高を例にとってみると、キリスト教の精神に根ざした価値観を養い、神と人との前に誠実に歩み、愛の心をもって社会に奉仕できる女性を育成することが教育目標となっています。また、校訓として次の3つが掲げられています。

  従順—正しいこと、よいことを自分の意志にあわせて、これを実行すること
  勤勉—正しいこと、よいことのために、心をこめて自分の時間を使うこと
  愛徳—自分がしてほしいと思うことを他人にもしてあげられることを実践するやさしい心を培うもの

校訓や教育目標には、建学の精神が具体的に示されています。すなわち、自分を見つめながら誠実な態度で人に接し、他者と社会に積極的に関わっていく行動力を持った女性こそ、白百合学園が求める生徒像であり、学生像です。1時間半に及んだ建学の精神の講話を、約50名の教職員の方々が真剣なまなざしで聞いてくださり、実り豊かな時間を過ごすことができました。また、講話の前後に「主の祈り」と「アヴェ・マリアの祈り」を一緒に唱えたのですが、全員が背筋を伸ばし、きちんと手を合わせ、祈りをすらすらと暗誦していた姿が印象的でした。日常の祈りが身についていないと、いきなりこうはできないものです。

最後になりますが、10月22日(土)・23日(日)には本学の一大イベントである白百合祭が開催されます。コロナの状況が落ち着いていれば、3年ぶりに対面で行われる予定です。白百合祭実行委員の学生たちにとっても、対面での白百合祭は初めての経験なので、緊張と不安を感じながらも強い使命感をもって準備に取り組んでいます。有意義で思い出深い学園祭となりますよう心から祈り応援しています。1日2,000人という人数制限がありますが、1人でも多くの方に来ていただき、一緒に楽しんでいただければ幸いです。


   


                 



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