解題の解説

中京大学文学部准教授:浅岡邦雄氏編

《凡 例》本編は、白百合女子大学図書館が所蔵する貴重書のうち、明治初期に刊行されたものの解題である。 配列は分類番号順とし、同一のものは刊行年月の順とした。記述は以下の順に従う(記述を欠くものもあり)。 書名、書名読み、請求記号、著訳編者名、刊年(月)、出版者、巻冊(丁・頁)、印刷・製本、大きさ、表紙、見返し、印記、解説等。 角書きと本書名の間には・(中グロ)を入れた。


【童蒙をしへ草(どうもうおしえぐさ)】(請求記号150/C38/1〜5)
福沢諭吉訳、明治5(1872)年、慶応義塾蔵版、初編(3冊)、2編(2冊)全5冊、整版・和装、初編・18.9×13.1cm、2編・18.6×13.1cm。表紙は濃藍色地に網目模様、 左肩に題箋 「童蒙をしへ草 初編一(二、三、 二編四、五大尾)」と記す。見返しは黄色和紙、 飾罫を三ツ割 「福澤諭吉譯/童蒙をしへ草 初編/明治五年壬申季夏 尚古堂発兌」とし、 右下に「慶応義塾蔵版之印」の方形朱印を捺す。各冊、 題箋、 本文冒頭、 末尾に 「澤村」 「澤邑」の印記あり。

解説)本書は、英国人チャンブルの「モラル・カラッス・ブック」を翻訳したもの。西洋の修身道徳の話を集め、児童用の読本としたもので、当時の小学校の教科書として広く用いられた。本学所蔵本は、慶応義塾大学図書館蔵本とは表紙と縦の長さが異なる。また、慶応本、国立国会図書館本にはない「蔵版目録」1丁が付されていることなどから、慶応・国会本より後刷りのものと思しい。

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