解題の解説

中京大学文学部准教授:浅岡邦雄氏編

《凡 例》本編は、白百合女子大学図書館が所蔵する貴重書のうち、明治初期に刊行されたものの解題である。 配列は分類番号順とし、同一のものは刊行年月の順とした。記述は以下の順に従う(記述を欠くものもあり)。 書名、書名読み、請求記号、著訳編者名、刊年(月)、出版者、巻冊(丁・頁)、印刷・製本、大きさ、表紙、見返し、印記、解説等。 角書きと本書名の間には・(中グロ)を入れた。


【世界国盡(せかいくにづくし)】(請求記号290/Sc22)
福沢諭吉訳述、明治4年(1871)年12月再刻、慶応義塾蔵版、巻之一−巻之六全3冊、整版・和装、22.3×15.2cm。表紙は濃藍色網目模様、左肩に題箋「頭書/大全 世界国盡 巻一二 再刻(巻三四〜巻五六)」、見返しは本文共紙に飾枠内上部に「明治二年己巳初冬」中央に「世かい国つくし」、下に洋装婦人が書物を右手に読書の姿を描く。右端題名にかけて「頭書大全」の四字を陰陽に彫刻した円形の朱印を印刷。右下に「福沢諭吉訳述」、左下に「慶応義塾蔵版之印」の方形の朱印を捺す。左下枠外に「明治四年辛末十二月再刻」と記す。

解説)世界地理の概要を子どもにも覚えやすいようにとの配慮から七五調に綴り、習字の手本とすると同時に、その文言を暗記させて各国地理風俗を覚えさせる趣向をもつ。本文を上下二段に分け、下段に習字手本風に大きな文字で書き、上段は頭書で本文の補足的説明を図入りで掲げる。本学所蔵本は、明治4年12月の再刻本で、初版本が半紙本6冊であったのに対し、合冊して3冊本としたものである。

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