解題の解説

中京大学文学部准教授:浅岡邦雄氏編

《凡 例》本編は、白百合女子大学図書館が所蔵する貴重書のうち、明治初期に刊行されたものの解題である。 配列は分類番号順とし、同一のものは刊行年月の順とした。記述は以下の順に従う(記述を欠くものもあり)。 書名、書名読み、請求記号、著訳編者名、刊年(月)、出版者、巻冊(丁・頁)、印刷・製本、大きさ、表紙、見返し、印記、解説等。 角書きと本書名の間には・(中グロ)を入れた。


【西洋聞見録(せいようぶんけんろく)】(請求記号290.9/Mu59/1-1〜4、2-1〜3)
村田文夫簒述、明治2年(1869)年12月、4年(1871)年1月、天民館蔵梓、前編4冊、後編3冊全7冊、整版・和装、22.1×15.2cm。表紙は草色の地に紗綾形文様、左肩に題箋「西洋聞見録 前編(後編)」、透かし模様で「EDITED BY MURATA」とある。扉は、前編薄朱色の縦縞模様の和紙に子持ち罫を三ツ割し、「□湖邨田樞文夫簒述/西洋聞見録/明治二年新栞 前編」、後編は黄色和紙を同じく三ツ割とし、左の記述が「明治三年新栞 後編四冊」で他は前編と同じ。前・後編とも扉の裏に大型の縦長方形「天民館蔵梓之印」の朱印を押捺。

解説)広島藩士の村田文夫が英国から帰国してのち、英国を中心とした西洋の政治・経済・社会・文化・風俗各般を紹介したもの。尾佐竹猛は著書『維新史叢説』のなかで、「記事詳密を極め、しかも大体正鵠を得て居るのは此時代の著書としては白眉である」と述べている。本書は、前編・後編各4冊として刊行されたものだが、本学所蔵本は後編の巻之1と巻之2と合冊しているため、後編は3冊となっている。『明治文化全集』第7巻「外国文化篇」に所収。

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