解題の解説

中京大学文学部准教授:浅岡邦雄氏編

《凡 例》本編は、白百合女子大学図書館が所蔵する貴重書のうち、明治初期に刊行されたものの解題である。 配列は分類番号順とし、同一のものは刊行年月の順とした。記述は以下の順に従う(記述を欠くものもあり)。 書名、書名読み、請求記号、著訳編者名、刊年(月)、出版者、巻冊(丁・頁)、印刷・製本、大きさ、表紙、見返し、印記、解説等。 角書きと本書名の間には・(中グロ)を入れた。


【幼稚園法二十遊嬉(ようちえんほうにじゅうゆうき)】(請求記号376.1/Se24)
関信三編、明治12(1879)年7月、青山堂、全1冊(17丁)、整版・和装、 1.4×15.1cm。

解説)本書は、幼児期の教育がいかに大切であるかをフレーベルなどを引用しながら説いたもので、幼稚園教育に関する著書としては初期ももののひとつ。第7丁から第16丁には銅版画で幼児の遊びが描かれている。編者関信三は、三河の寺の子として生まれ、養父から「倶舎論」の講義を受けたと言われる。明治初年、東本願寺から耶蘇教密偵の役目をおびて長崎に派遣され、安藤劉太郎の名で教会偵察の任にあたる。明治5年、東本願寺法主・現如が洋行するのに随行し、帰国後の明治7年キリスト教に転宗。洋行帰りの語学力と見聞をみこまれて、明治8年東京女子師範学校の創立と同時に英語の教師となる。翌9年に同校付属幼稚園の園長に就任、その後明治13年在職のまま病没。本書は『明治初期教育稀覯書集成』(二)に収録。

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