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授業情報/Course information

科目一覧へ戻る 2024/03/14 現在

科目名/Course title 宗教学ⅡX/Religious Studies Ⅱ(X)
担当教員(所属)/Instructor 石井 砂母亜 (カトリック教育センター)
授業科目区分/Category 宗教学科目 
授業形態/Type of class 講義
開講期/Semester 2024年度/Academic Year  後期/AUTUMN
開講曜限/Class period 火/TUE 3
対象所属/Eligible Faculty 文学部国語国文学科/Faculty of Liberal Arts Department of Japanese Language and Literature,文学部フランス語フランス文学科/Faculty of Liberal Arts Department of French Language and Literature,文学部英語英文学科/Faculty of Liberal Arts Department of English Language and Literature,人間総合学部児童文化学科/Faculty of Human Studies Department of Children's Culture,人間総合学部発達心理学科/Faculty of Human Studies Department of Developmental Psychology,人間総合学部初等教育学科/Faculty of Human Studies Department of Child Care and Primary Education
対象学年/Eligible grade 3年 , 4年
単位数/Credits 1
副題
/SubTitle
永遠の命と「愛」——絶対に結びつかぬものが「結びつく」ということ
<学びの体系>「哲学・思想・歴史」「聖書・神学」
授業のねらいと達成目標
/Course Objectives
 西田幾多郎は、宗教においてのみ「自己の存在を問う」ことができると論じた。前期は、自己の存在を露わにするものとして宗教を概観したが、「わたし」とは「あなた」(神/他者)によって呼び起こされる存在でもあった。後期は、前期での学びを踏まえながら、自己と他者とを切り結ぶ働きとして「愛」に注目したい。宗教とは自己の存在を問うことであるが、自己を問うことは同時に他者を問うことでもある。また、自己と他者との協働を支えるものが「愛」である。「愛」を主題とすることを通して、「自己の存在」から宗教を論じた西田哲学のスタンスがより明瞭に理解できるはずである。本講義を受講するに際して求められる姿勢は、「愛とは何か」という問いを、他人事ではなく自らの課題として引き受けつつ、考えるということである。また、自ら考え、自分なりの見解を持つことで満足することなく、自らの言葉でそれらを表現できるようになることが、授業における目標となる。
授業概要
/Course description
 本講義では、プラトンの『饗宴』や聖書に耳を傾けつつ、童話や絵本、映画などを通して、「愛」の働きについて具体的に考えていく。聖書は、愛の息吹に呼び起こされるとき「永遠の命」を受け継ぐものとなると強調するが、なぜ愛において「永遠の命」を受け継ぐことができるのだろうか。「愛」と「永遠の命」はどのような関係にあるのだろうか。この謎を読み解くために、本講義で取り上げたいのが「身体性」である。自己と他者を「身体の重み」を抱えた弱く傷つきやすい存在として捉え直すことを通して、宗教の核心に迫りたい。
授業計画(授業の形式、スケジュール等)
/Class schedule
第1回:オリエンテーション——「出逢い」を可能にするもの/妨げるもの
第2回:出逢いをひらく「愛」——マクドナルド『軽いお姫様』を味わう
第3回:「愛」の重み——映画「人生はビギナーズ」を観る
第4回:死の影を踏みゆくもの——身体と重み
第5回:愛のかたち——ニーグレン『アガペーとエロース』を手引に
第6回:死の影を超えて——プラトン『饗宴』を読む(1)
第7回:失われたものを求めて——プラトン『饗宴』を読む(2)
第8回:美しいものの中で子を産むこと——プラトン『饗宴』を読む(3)
第9回:「愛」の逆説——「ぶどう園の労働者」のたとえ
第10回:他者の痛みを痛む——「放蕩息子」と「善いサマリア人」のたとえ
第11回:永遠の命を受け継ぐとは何か(1)——「隣人になる」ということをめぐって
第12回:永遠の命を受け継ぐとは何か(2)——映画「きっと、星のせいじゃない。」を観る
第13回:0と1の間の無限を考える——永遠の命と「愛」
第14回:わたしの中に他者が住まう——佐野洋子『100万回生きたねこ』を味わう
第15回:絶対に結びつかぬものが「結びつく」ということ——サン=テグジュペリ『星の王子さま』を読む
準備学習・履修上の注意
/Notices
◆授業時間外の学習に関する指示は必要に応じて別途行うが、原則として授業で扱うテキスト(下記の参考文献)には予め目を通しておくこと。また、授業後には、講義内容を踏まえたうえで気づいた点や問いをまとめること。授業の終わりに、次回までの課題として問いを出題する場合もある。
◆各授業における予習復習時間数の平均は1時間程度を想定している。
◆授業に関する詳細はオリエンテーション時に提示するので、初回の授業には必ず参加すること。
◆課題やそのほかの指示は授業内及びmanaba courseなどで提示されるため、必ず確認すること。確認しないことによる不利益は受講者の責任となる。manaba courseの使用法が分からないなどのトラブルは、各自の責任で担当部署に確認すること。
◆ 当然のことであるが、インターネットからの転写や剽窃(毎回課されるリアクションペーパやレポートにおいて)には厳しく対応する。  
◆授業冒頭の出席はresponで管理するが、授業内にリアクションペーパーを提出するため(manaba courseを利用)、未提出の場合は原則欠席とする。なお、早退する場合は予め申し出ること。
◆欠席・遅刻・早退に関しては、大学の規定通りである。
教科書・参考書等
/Textbooks
【教科書】
教科書は指定せず、授業時に資料プリントを配布する。

【参考書】
佐野洋子『100万回生きたねこ』講談社、1976年。
サン=テグジュペリ、河野万里子訳『星の王子さま』新潮社、2006年。
島薗進『宗教を物語でほどく』NHK出版、2016年。
ジョージ・マクドナルド著、富山太佳夫・富山芳子訳『軽いお姫様』青土社、1999年。
西村ユミ『語りかける身体——看護ケアの現象学』(講談社学術文庫)、講談社、2018年。
プラトン、中澤務訳『饗宴』(光文社古典新訳文庫)、光文社、2013年。
各回の講義で別途参考文献を提示する。
成績評価の方法
/Evaluation
【評価方法】
レポート(60%)と平常点(40%)により評価する。
平常点とは、毎回時に課されるリアクションペーパーと授業への参加度である。

【評価基準】
◆レポート:課題設定の適切さ、論旨の展開と表現の適切さ、問題意識の明瞭さと鋭さ、取り組みの真摯さ、参考文献の提示・引用の処理の適切さから評価する。特に、参考文献の提示・引用の処理の適切さは大切であり、参考文献を挙げぬままの文の借用、インターネットからの転写(所謂「剽窃」)は、厳しく対応する。
◆平常点:リアクションペーパーでは自分なりの考察が的確に表現されていることが大切である。自分の経験に照らし合わせながら、他人事ではなく自分の問題として課題を言語化できているかを評価する。

【課題(試験やレポート)に対するフィードバックの方法】
 毎回時に課されるリアクションペーパー(フィードバック)を授業冒頭で紹介し、それに対してコメントすることで双方向性を図りたい。またレポートに関しては、全体的な総評を行う予定である。
備考
/Notes
グループ毎のディスカッションを適宜実施する。

科目と卒業/修了認定に関する方針(ディプロマ・ポリシー)の対応一覧
/Diploma Policy
https://www.shirayuri.ac.jp/campus/enrollment/diploma01.html

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