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授業情報/Course information

科目一覧へ戻る 2023/03/18 現在

科目名/Course title 近代文学演習D/Japanese Literature: since the Meiji Era (Seminar) D
担当教員(所属)/Instructor 阿部 真也 (文学部国語国文学科)
授業科目区分/Category 国語国文学科専門科目 
授業形態/Type of class 演習
開講期/Semester 2023年度/Academic Year  通年/ONE-YEAR
開講曜限/Class period 火/TUE 4
対象所属/Eligible Faculty 文学部国語国文学科/Faculty of Liberal Arts Department of Japanese Language and Literature
対象学年/Eligible grade 2年 , 3年 , 4年
単位数/Credits 4
副題
/SubTitle
昭和戦前期・戦後期の小説作品を読む
授業のねらいと達成目標
/Course Objectives
 関東大震災(大正12年)は当時の文学に大きな影響を与え、「心境小説」というジャンルの形成を後押しします。また、この時期、ソビエト文化・アメリカ文化が本格的に日本へ流入し、以後マルキシズムとモダニズムは昭和期の文学の形成する大きな要素となっていきます。一般にこの時期の文壇状況は、「心境小説」を中心とする既成文壇、プロレタリア文学、新感覚派を出発点とするモダニズム文学の三つの勢力に整理されます。その後は、プロレタリア文学は弾圧され、「転向文学」の出現と同時に、「文芸復興」と呼ばれる時期に入り、以後戦時体制へと移行していきます。これらの背景に潜在していた可能性を掘り起こしていくことは、戦争と文学の関係を問うことにも繋がるでしょう。
 また敗戦後、日本はサンフランシスコ講和条約まで占領軍の統治下に入り、文壇もそれ以前の国策文学が影を潜め、「戦後文学」が様々な様相で立ち現れることになります。戦時中に弾圧された体験に基づき、戦争を断罪できる特権性のもとに、戦後文壇のヘゲモニーを握っていった「新日本文学」系、「近代文学」系の作家たちのみならず、「無頼派」に代表されるような、昭和10年代も中堅作家として活動しつづけた作家たちも積極的に戦後の世相を描き出していきます。そこにはそれぞれの文学者の「戦争」体験が如実に反映されています。
 本演習では、昭和戦前期・戦後期の短篇小説を取り上げながら、小説を表現や作品構造を根拠としながら読み解く力、および調査を行い、自身の考えをまとめ、発表する力を身に付けることを目的とします。これらの力は、研究で必要とされる基礎的な能力です。授業は、参加者による発表報告と、それに対する質疑を基本として進めます。入念な準備と、積極的な参加を求めます。

 この授業はディプロマ・ポリシー中の「専攻する言語と文学、文化について、特定の問題を掘り下げ、自ら調査、研究して考えをまとめることができる」「専攻する言語について、高度なコミュニケーション能力を身につけている」に対応しています。
授業概要
/Course description
 授業は、参加者による発表報告と、それに対する質疑応答を基本として進めます。入念な準備と、積極的な参加を求めます。
 前期は昭和戦前期の小説作品を、後期は昭和戦後期の小説作品を扱います。
授業計画(授業の形式、スケジュール等)
/Class schedule
第1回:ガイダンス
第2回:調査方法について
第3回:見本発表 高見順『虚実』
第4回:発表① 井伏鱒二『鯉』
第5回:発表② 佐多稲子『キャラメル工場から』
第6回:発表③ 堀辰雄『死の素描』
第7回:発表④ 横光利一『機械』
第8回:発表⑤ 梶井基次郎『闇の絵巻』
第9回:発表⑥ 牧野信一『ゼーロン』
第10回:発表⑦ 小林多喜二『母たち』
第11回:発表⑧ 伊藤整『生物祭』
第12回:発表⑨ 室生犀星『あにいもうと』
第13回:発表⑩ 太宰治『待つ』
第14回:発表⑪ 中島敦『文字禍』
第15回:補足発表
第16回:後期演習打合せ
第17回:発表⑫ 中里恒子『墓地の春』
第18回:発表⑬ 石川淳『焼跡のイエス』
第19回:発表⑭ 原民喜『夏の花』
第20回:発表⑮ 坂口安吾『桜の森の満開の下』
第21回:発表⑯ 野間宏『顔の中の赤い月』
第22回:発表⑰ 梅崎春生『蜆』
第23回:発表⑱ 尾崎一雄『虫のいろいろ』
第24回:発表⑲ 武田泰淳『もう喰う女』
第25回:発表⑳ 永井龍男『胡桃割り』
第26回:発表㉑ 林芙美子『水仙』
第27回:発表㉒ 大岡昇平『出征』
第28回:発表㉓ 長谷川四郎『小さな礼拝堂』
第29回:発表㉔ 安部公房『プルートーのわな』
第30回:補足発表
準備学習・履修上の注意
/Notices
〇事前学習(週3時間):課題作品を読んだ上で、各自で解釈・問題点をまとめておく。また、発表担当者は調査を行い、レジュメを作成する。
〇事後学習(週1時間):発表内容を振り返り、作品の解釈上の問題点を再確認し、自身の考えを深める。
教科書・参考書等
/Textbooks
【教科書】
紅野敏郎、紅野謙介他編『日本近代短篇小説選』昭和篇1(岩波文庫、2012年)税込935円978-4-00-311914-3
紅野敏郎、紅野謙介他編『日本近代短篇小説選』昭和篇2(岩波文庫、2012年)税込935円978-4-00-311915-0
【参考書】
 授業内で適宜紹介する。
成績評価の方法
/Evaluation
【評価方法】
 平常点(質疑、およびコメントシートの提出・その内容)[60%]、発表内容[40%]。
【評価基準】
 平常点:積極的に発言し、授業に参加している。
 発表:文献調査、レジュメ作成の注意事項を理解している。実証的に自身の考えを構築できている。
【課題(試験やレポート)に対するフィードバックの方法】
 発表、および質疑の内容について、各回の授業内でフィードバックを行う。
備考
/Notes
 この授業は、ディスカッション、プレゼンテーションを取り入れている。

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