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授業情報/Course information

科目一覧へ戻る 2023/03/18 現在

科目名/Course title 中古文学講義A/Japanese Literature: the Heian Era (Lecture) A
担当教員(所属)/Instructor 塚﨑 夏子 (文学部国語国文学科)
授業科目区分/Category 国語国文学科専門科目 
授業形態/Type of class 講義
開講期/Semester 2023年度/Academic Year  通年/ONE-YEAR
開講曜限/Class period 水/WED 3
対象所属/Eligible Faculty
対象学年/Eligible grade 2年 , 3年 , 4年
単位数/Credits 4
副題
/SubTitle
『栄花物語』「月の宴」「花山たづぬる中納言」巻を読む
授業のねらいと達成目標
/Course Objectives
この授業では『栄花物語』を読むことで、文学史における歴史物語の位置付けを理解すると共に、多くの平安文学作品の時代背景となっている摂関期、特に村上朝から花山朝までの通史・文化に関する基礎知識を学びます。
巻一「月の宴」、巻二「花山たづぬる中納言」は、藤原道長が栄華を極める時代の前史に当たります。そもそも道長の家系は、本来摂関家の中でも傍流に当たる家のはずなのに、どうして政権の頂点に昇りつめることができたのでしょうか。後宮の情報に精通する女房ならではの視点から、一条帝が即位に至るまでの歴史の裏側と、摂関家の女性たちの活躍を読み解きます。

授業内容を参考に、各自興味を持ったテーマを設定し、自分なりの問題意識で調査・考察したレポートが書けることも目指しています。
この授業は、ディプロマ・ポリシーの「専攻する言語や文学、文化について、特定の問題を掘り下げ、自ら調査、研究して考えをまとめることができる」「専攻する言語について、高度なコミュニケーション能力を身につけている」に対応しています。
授業概要
/Course description
完全な通読ではなく、その時々のテーマに沿う『栄花物語』の記事を抽出したプリントを配布し、授業内で精読する形で進めます。
作品自体に触れたことがない方が多いであろうことから、特に前期授業の前半をかけて、作品に関する基礎知識、登場人物の系譜や時代背景を、できるだけ丁寧に解説するつもりです。
『栄花物語』は、日本史の知識があるとより楽しめる作品ではありますが、何よりも「歴史物語」ですので、「物語」としての面白さを感じてほしいと考えています。
授業計画(授業の形式、スケジュール等)
/Class schedule
第1回:ガイダンス
第2回:「歴史」を書くこと
第3回:『栄花物語』概説
第4回:系譜解説①――皇統の交替と両統迭立
第5回:系譜解説②――摂関家の嫡流と傍流
第6回:村上朝の後宮①――「聖代」の条件
第7回:村上朝の後宮②――安子と芳子
第8回:村上朝の後宮③――安子と登子
第9回:村上朝の後宮④――「聖代」を支える后
第10回:皇位継承をめぐる争い①――東宮に祟る怨霊
第11回:皇位継承をめぐる争い②――為平親王と守平親王
第12回:安和の変①――円融帝即位
第13回:安和の変②――源高明排斥
第14回:安和の変③――『栄花物語』『大鏡』の歴史観の違い
第15回:前期のまとめ、前期末試験
第16回:兼通と兼家①――氏長者をめぐる争い
第17回:兼通と兼家②――兼通の讒奏
第18回:円融朝の後宮①――中宮媓子の薨去と詮子懐妊
第19回:円融朝の後宮②――立后争いと「素腹の后」
第20回:花山帝即位①――円融帝の退位
第21回:花山帝即位②――伊尹流を襲った不幸
第22回:花山帝即位③――冷泉院の皇子たち
第23回:花山朝の後宮①――姫子の入内
第24回:花山朝の後宮②――忯子の入内
第25回:花山朝の後宮③――『源氏物語』桐壺巻との関連
第26回:花山帝退位事件①――『栄花物語』が語る花山帝の出家
第27回:花山帝退位事件②――『大鏡』が語る花山帝の出家
第28回:花山帝退位事件③――伊尹家の凋落と兼家の政権奪取
第29回:花山帝退位事件④――花山院のその後
第30回:後期のまとめ
準備学習・履修上の注意
/Notices
登場人物がとても多い作品なので、登場人物のプロフィール(家系や略歴など)をある程度頭に入れながら、物語を読み進める必要があります。授業内でもその都度おさらいする予定ではありますが、藤原摂関家の系図(特に藤原師輔の子供たちの名前)は定期的に確認しておいてください。
準備学習:『新編日本古典文学全集栄花物語1』の「月の宴」「花山たづぬる中納言」巻にざっと目を通しておいてください(ジャパンナレッジで可)。
また、摂関期に興味を持てるような書籍を初回の授業で紹介しますので、関心のある方はそちらも読んでみてください。
本授業における予習・復習時間は、平均4時間程度を想定しています。
教科書・参考書等
/Textbooks
【教科書】
『新編日本古典文学全集栄花物語1』(購入不要。毎回プリントを配布する)

【参考書】
授業中、適宜指示する。
成績評価の方法
/Evaluation
【評価方法】
授業への貢献30%・前期末試験30%・学年末レポート40%の比率で総合的に評価する。

【評価基準】
授業への貢献:グループワークや討議で積極的に自分の意見・感想を述べ、授業に貢献できたか。 
前期末試験:『栄花物語』の基礎知識・登場人物についての授業内容が身についているか。 
学年末レポート:自身で課題を設定し、解決のために有効な調査を適切な方法で行うことができているか。自分自身の考えが述べられているか。

【課題(試験やレポート)に対するフィードバックの方法】
前期末試験は採点後返却し、解答の解説を行う。
学年末レポートにはコメントを記入して返却する。
備考
/Notes
【討議(ディスカッション、ディベート)を取り入れている】
【グループワークを取り入れている】

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