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授業情報/Course information

科目一覧へ戻る 2023/03/18 現在

科目名/Course title 近代文学講義D/Japanese Literature: since the Meiji Era (Lecture) D
担当教員(所属)/Instructor 山中 剛史 (文学部国語国文学科)
授業科目区分/Category 国語国文学科専門科目 
授業形態/Type of class 講義
開講期/Semester 2023年度/Academic Year  通年/ONE-YEAR
開講曜限/Class period 水/WED 4
対象所属/Eligible Faculty
対象学年/Eligible grade 2年 , 3年 , 4年
単位数/Credits 4
副題
/SubTitle
文・方法・メディアから見る文学的「近代文学」の諸相
授業のねらいと達成目標
/Course Objectives
本講義は、近代文学を「文」「方法」「メディア」という三つの要素から考察していくことで、文学における「近代」をめぐる諸問題について考えていくことを主要な目的とします。
では「文」「方法」「メディア」とは何か。そもそも今当たり前にあるような文、そして小説の文体がどのような歴史的状況のなかで成立したのか。それを考えるには、何も言文一致のみならず、韻文と散文のあるいはまた物語と小説のといった区分が確立していったのかについての問題も改めて考えなければなりません。
また、小説とはフィクションですが、それに感じ入ったり感動したりするのは「リアリティ」を感じさせるからです。ではその「リアリティ」とは何か。それを考えるためには小説の方法論をおさえておかなければなりません。明治から昭和にかけて、近代文学は種々の流派・主義を経て来ましたが、それぞれの方法論は歴史的変遷のなかでいかような葛藤と革新を経てきたのか。
そして文学は、メディアがあって初めて成立するものです。書物という商業的媒介物がなければ、文学もあり得ない。とかく中身ばかりが問題になる文学を、その身体ともいうべきメディアの側から改めて考えた時に、背後の社会状況や映像などの他メディアの発展も視野に入れなければならなくなってきます。
これら「文」「方法」「メディア」の視点から、改めて文学における「近代」を捉え直すことが本講義の達成目標です。

本講義は、ディプロマ・ポリシーの中の「言語と文学、文化に関して、専門的な知見と技術を身につける」に対応しています。
授業概要
/Course description
「近代」文学とは何だったのか。明治以降の文学における「文」「方法」「メディア」という三つの視点から、その発生と葛藤そして成熟する有様を各々の作品を参照しながら考察していく。
言文一致運動による文学的「文」の制度化によって、小説が韻文や語り物的芸能から離脱していく様相を、近代的な物語/小説のジャンル分化を軸に考察する。
また、小説による「私」語り=自己表象の際の方法論的成熟を、ロマン主義から自然主義という揺れ幅の中で跡づけると共に、大正期に開花するデカダンスの文学における感覚の鋭敏化と前近代的「型」の再発見という反自然主義の作家たちの試みのなかに読み解いていく。
もちろん近代文学は、新聞や雑誌、単行本などによって媒介される「商品としての文学」として成立している。このアングルから、近代的印刷製本、書籍流通の発展といった様相を改めて捉え直し、「芸術家」「小説家」像がいかようにして立ち上がり、それら作家による「作品」がどのように流通し消費されていったのかを、種々のメディアや書籍、書籍の装幀や挿画などから具体的に考察していく。また流通とい消費の観点から、文学作品の映画や漫画などへのアダプテーション、オリジナルと二次創作の関係についても考察する。
授業計画(授業の形式、スケジュール等)
/Class schedule
第1回:ガイダンス
第2回:小説とはなんだろうか
第3回:小説の近代:近代化の階梯
第4回:メディアの近代:瓦版から新聞へ
第5回:小説の発生:雑報から小説へ
第6回:文学改良(1):「近代」の意味
第7回:文学改良(2):言文一致
第8回:ロマン主義(1):立身出世の敗北者
第9回:ロマン主義(2):恋愛という新思想
第10回:リアルのゆくえ:「写実」という方法
第11回:「風景」の発見
第12回:自然主義(1):自然科学主義
第13回:自然主義(2):さまざまな言説
第14回:自然主義(3):「告白」という戦略
第15回:「方法論」のゆくえ
第16回:反自然主義(1):荷風のデカダンス
第17回:反自然主義(2):感覚のモダン
第18回:大衆の時代(1):文学成金と社会状況
第19回:大衆の時代(2):大衆社会の醸成
第20回:大衆の時代(3):「大衆文学」のストラテジー
第21回:文学の産業化:メディア発展と円本
第22回:物語の筋論争(1):ジャンル分化と純粋化
第23回:物語の筋論争(2):前衛と大衆大衆
第24回:純粋小説の問題:方法論としての「自意識」
第25回:私小説(1):二重化される「私」
第26回:私小説(2):太宰治の新しさ
第27回:私小説(3):モデル問題と受容
第28回:寺山修司の方法論:虚構の「私」
第29回:タレント化する作家(1):「作者」の位置
第30回:タレント化する作家(2):メディア時代の作家像
☆内容は変更される場合もある
準備学習・履修上の注意
/Notices
小レポート用の課題作品は勿論のこと、講義中指示する関連文献、作品などにも積極的に目を通し、主体的な姿勢をもって講義に臨んでもらいたい。

なお、本授業の予習・復習にはおおむね4時間を想定しています。
【授業外学修の内容】
毎回の授業の振り返りを行うこと。授業において指示した課題を行うこと。
教科書・参考書等
/Textbooks
【教科書】
必要に応じテキスト及び資料プリントを配布するが、本の購入を指示する場合がある。

【参考書】
講義中適宜指示する。
成績評価の方法
/Evaluation
【評価方法】
講義への参加度(リアクションペーパー)4割+期末レポート6割を総合して評価を下す。

【評価基準】
課題:授業で扱ったテーマを理解し、真摯に取り組んでいる。
レポート:授業で扱ったテーマを理解し、自分の意見を述べることができる。

【課題(試験やレポート)に対するフィードバックの方法】
レポート、リアクションペーパーなどにコメントを返す。
備考
/Notes
☆今後の状況によって授業形式が変わる可能性があります。
◎教室で対面授業

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