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授業情報/Course information

科目一覧へ戻る 2021/10/30 現在

科目名/Course title 専門演習A/Reading French Texts (A)
担当教員(所属)/Instructor 坂本 さやか (文学部フランス語フランス文学科)
授業科目区分/Category フランス語フランス文学科専門科目 
授業形態/Type of class 演習
開講期/Semester 2021年度/Academic Year  通年/ONE-YEAR
開講曜限/Class period 金/FRI 3
対象所属/Eligible Faculty
対象学年/Eligible grade 3年 , 4年
単位数/Credits 4
副題
/SubTitle
言葉を話す動物たち:フランス語で読む「長靴をはいた猫」と「ノアの箱舟」
授業のねらいと達成目標
/Course Objectives
 フランス語での原書講読に必要な文法事項を学習しながら、時に難解な部分もある物語をフランス語で読むことに挑戦します。さらに、その読解をもとに内容に関する分析・議論を行うことで、フランス語読解能力を鍛えながら、作品への理解を深めることを目指します。また同じ物語が、別の作家の作品ではどう描かれているのかを比較しながら、文学テクストの読み方を学んでいきます。
授業概要
/Course description
 前期は、有名な「長靴をはいた猫」の物語を扱います。最初の数回は、17世紀のシャルル・ペローによる「ねこ先生または長靴をはいた猫」を日本語訳とフランス語の抜粋で読み、物語の提示する主題や興味深い点について考察します。それ以降は、毎回、イスラーム世界に舞台を移したタハール・ベン=ジェルーンによる「長靴をはいた猫」のフランス語による読解に取り組みます。それぞれの場面をフランス語の原書の抜粋で精読し、登場人物(動物)の設定、言葉の持つ力、物語の展開などについて、ペローの作品と比較し、両者の違いや共通点について議論・検討していきます。

 後期は、旧約聖書に登場する「洪水」のリライト(書き換え)である、ジュール・シュペルヴィエルによる「ノアの箱舟」を扱います。最初の数回は、旧約聖書の日本語訳を読んで、聖書のテクストの内容について検討します。それ以降は、毎回、ウルグアイ生まれの作家であるシュペルヴィエルの「ノアの箱舟」のフランス語による読解に取り組みます。それぞれの場面を原書の抜粋で精読しながら、人間や動物の描き方、箱舟に乗った人間・動物たちと、海に残された人間・動物たちのあいだで交わされる議論などに着目し、聖書の記述とも比較しながら、シュペルヴィエルのテクストの特徴を探ります。またシュペルヴィエルの終末論的な文章にあふれる、時にブラックなきわどいユーモアにも注目します。

 学生は毎回、指定されたフランス語のテクストを辞書を引いてきちんと予習し、授業で当てられたら、訳および内容についての説明を行うこと。まだ習っていない文法事項や難解な箇所も出てきますが、そのつど細かく解説をしますので、意欲をもって取り組んでください。
 
授業計画(授業の形式、スケジュール等)
/Class schedule
第1回:導入/物語の時制「直説法単純過去」について
第2回:Charles Perrault, « Le Maître Chat ou le Chat botté »  ペローの童話の読解
第3回:Charles Perrault, « Le Maître Chat ou le Chat botté » ペローの童話の分析
第4回:Tahar Ben Jelloun, « Le Chat botté » ベン=ジェルーンの描く動物嫌いの国
第5回:Tahar Ben Jelloun, « Le Chat botté » 粉ひきの息子たちの財産相続
第6回:Tahar Ben Jelloun, « Le Chat botté » 猫から総督への貢物 
第7回:Tahar Ben Jelloun, « Le Chat botté » 湖で溺れかける主人
第8回:Tahar Ben Jelloun, « Le Chat botté » 猫の嘘と作り話
第9回:Tahar Ben Jelloun, « Le Chat botté » 幽霊の出る城
第10回:Tahar Ben Jelloun, « Le Chat botté » 猫と鬼の対決
第11回:Tahar Ben Jelloun, « Le Chat botté » 猫、魔法の力を失う
第12回:Tahar Ben Jelloun, « Le Chat botté » われに返る猫と主人
第13回:Tahar Ben Jelloun, « Le Chat botté » 労働の価値
第14回:学期末試験
第15回:前期まとめと評価

第16回:導入/物語の時制「直説法単純過去」について(復習)
第17回:聖書「洪水」の読解・内容に関する議論
第18回:Jules Supervielle, « L’Arche de Noé » シュペルヴィエルによる少女の逸話
第19回:Jules Supervielle, « L’Arche de Noé »  箱舟の建造, 動物たちの乗船
第20回:Jules Supervielle, « L’Arche de Noé »  箱舟に乗れない人間・動物たち
第21回:Jules Supervielle, « L’Arche de Noé »  サーカス一家の最期
第22回:Jules Supervielle, « L’Arche de Noé »  箱舟の内と外での論争, 選別の正当性
第23回:Jules Supervielle, « L’Arche de Noé »  海上の生存者
第24回:Jules Supervielle, « L’Arche de Noé »  努力と信頼のもたらす救い
第25回:Jules Supervielle, « L’Arche de Noé » 密航者
第26回:Jules Supervielle, « L’Arche de Noé » 飢えへの不安
第27回:Jules Supervielle, « L’Arche de Noé » 自己犠牲の困難
第28回:Jules Supervielle, « L’Arche de Noé » 不安と希望
第29回:Jules Supervielle, « L’Arche de Noé » 結末
第30回:後期まとめ・学期末試験
準備学習・履修上の注意
/Notices
 この授業では、難解な部分も多いフランス語の原文に、積極的に取り組むことが求められます。毎回、事前に辞書をよく調べた上で、フランス語テクストの日本語訳を準備してください。きちんと予習をした上で授業にのぞむこと。
 ついでテクストの内容についてよく理解しよく考えた上で、読解や調査に基づいた自分なりのコメントができるようにしましょう。
 さらにフランス語文学を通してイスラームや聖書の世界に関心を持つことも求められます。 
教科書・参考書等
/Textbooks
【教科書】
 授業時に、プリントまたはPDFで文書を配布します。

【参考書】
 授業中に適宜紹介します。
成績評価の方法
/Evaluation
【評価方法】
 授業での訳読への参加・課題提出・学期末試験・ミニレポート

【評価基準】
 訳読、課題、学期末試験に関しては、フランス語のテクストの意味がきちんと読み取れているか、テクストの提起する問題をよく把握できているかを評価します。
 ミニレポートについては、問題設定の適切さ、文章の組み立て(論理的一貫性)、作品の細部と全体を関連づけた読解ができるかどうかなどを評価します。

【課題(試験やレポート)に対するフィードバックの方法】
 毎回の授業で前回の課題の解答について解説
備考
/Notes
【討議(ディスカッション、ディベート)を取り入れている】
【グループワークを取り入れている】

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