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科目一覧へ戻る | 2025/03/14 現在 |
科目名/Course title | 児童文学・フランスB/Children's Literature: France (B) (Lecture) |
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担当教員(所属)/Instructor | 伊藤 敬佑 (人間総合学部児童文化学科) |
授業科目区分/Category | 児童文化学科専門科目 |
授業形態/Type of class | 講義 |
開講期/Semester | 2025年度/Academic Year 後期/AUTUMN |
開講曜限/Class period | 月/MON 2 |
対象所属/Eligible Faculty | 人間総合学部児童文化学科/Faculty of Human Studies Department of Children's Culture,人間総合学部発達心理学科/Faculty of Human Studies Department of Developmental Psychology,人間総合学部初等教育学科/Faculty of Human Studies Department of Child Care and Primary Education |
対象学年/Eligible grade | 1年 , 2年 , 3年 , 4年 |
単位数/Credits | 2 |
副題 /SubTitle |
フランス絵本を通じた「子どもの哲学p4c」実践 |
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授業のねらいと達成目標 /Course Objectives |
【前提】 「子どもの哲学:philosophy for children」とは、1970年代にアメリカで生まれ、近年日本でも広く関心を持たれ、小中高で実践されている哲学的対話の方法です。「子どもの」とは言われていますが、子どもだけでなく大学生や大人にとっても、考えを深める契機となる、意味のある活動として実践されています。 フランスでも、1990年代に持ち込まれてから様々な形で実践をされ、2010年には幼稚園で実際に行われた哲学対話に密着したドキュメンタリー映画『ちいさな哲学者たち』も公開されました。特に、2002年に小学校で絵本・児童文学が教材として導入されて以降、絵本を深く読みながら哲学的なテーマを議論するという、「絵本を用いた子どもの哲学実践」が広がりつつあります。 【授業の狙いと達成目標】 この授業は、そのようにフランスの小学校で行われている「絵本を用いた子どもの哲学実践」について、座学として学ぶのではなく、実際に学生同士で哲学対話を行ってみようという授業です。講師は、テーマや絵本作品を選択して提示し、みなさんが議論の海で迷わないように指針を示しはしますが、意見の当否を述べたり、結論を出すようなことはしません。みなさん自身が主役となり、身の回りに潜んでいる問いに対し、絵本を手がかりにして、対話しながら自分の考えを深めていくことを目指します。 そしてその過程で、個別の問いに対する自分自身の考えを深めながら、「問いに対する考えの深め方」も同時に身につけることを目指します。参考書に挙げた『「自分の意見」ってどうつくるの?哲学講師が教える超ロジカル思考術』など、近年フランスの哲学的思考は有用性の面でも注目を集めています。フランスの小学校における「絵本を用いた子どもの哲学実践」は、この哲学的思考方法と共通するものが多く、この授業を通じて思考力も伸ばしましょう。 |
授業概要 /Course description |
授業では、1つのテーマに対し2回の授業を行います。受講人数にもよりますが、基本的に以下のように進めます。 1回目:①キーとなる作品の読み聞かせ。 ②小グループに別れて主に作品中のこちらが提示した点について意見交換。 ③個々人が作品について「気になった点」を元に、次回話し合う「問い」を決める。 2回目:①別の絵本作品なども交えつつ、その「問い」について、個々の言葉の意味を考える。 ②それぞれの考えを深め、意見交換する。 一般的な哲学対話に比べ、問いを深めていく際に、目の前にある具体的な絵本作品の具体的な箇所について話をしながら進めていくため、「意見が思いつかない」ということが少なく、より地に足のついた議論ができる可能性が高い点にこの手法の特徴があります。また、特に意見交換や発表の際には、他の人の意見や発表機会を十分に尊重するように留意しましょう。 なお、児童文学・フランスBという授業なのでフランスの絵本を用いますが、本質的にはフランス絵本である必要はなく、フランスの絵本が他の国の絵本に比べ特別哲学的であるということではありません。 |
授業計画(授業の形式、スケジュール等) /Class schedule |
第1回:イントロダクション(「子どもの哲学」とはなにか?) 第2回:生きること・死ぬこと(1)——作品を読みながら論点を決める。 第3回:生きること・死ぬこと(2)——作品を読みながら議論を深める。 第4回:選択と責任(1)——作品を読みながら論点を決める。 第5回:選択と責任(2)——作品を読みながら議論を深める。 第6回:「正しさ」とは(1)——作品を読みながら論点を決める。 第7回:「正しさ」とは(2)——作品を読みながら議論を深める。 第8回:中間のまとめ 第9回:夢(1)——作品を読みながら論点を決める。 第10回:夢(2)——作品を読みながら議論を深める。 第11回:芸術(1)——作品を読みながら論点を決める。 第12回:芸術(2)——作品を読みながら議論を深める。 第13回:学生の希望するテーマ(1)——作品を読みながら論点を決める。 第14回:学生の希望するテーマ(2)——作品を読みながら議論を深める。 第15回:学期のまとめ |
準備学習・履修上の注意 /Notices |
・各テーマの1回目の授業の前の準備学習は特に求めません。1回目の授業の後、2回目の授業までに、決まった「問い」について、自分なりに考えを深めてみましょう。 ・授業の性質上、毎回の授業を受け身的に参加するのではなく、自分自身の頭で考え、積極的に参加する姿勢が求められます。この授業を作るのは学生のみなさん1人1人なので、そのつもりで受講してください。 ・ただし、成績評価でも述べる通り、「発言回数=積極的な参加」というわけではなく、テーマや問いについて、自分の中で深く思索することも「積極的な参加」の一形態だと考えていますので、人前で発言することが苦手な人が受講できないということでは決してありません。 ・授業外学修時間は4時間を想定しています。 |
教科書・参考書等 /Textbooks |
【教科書】 適宜指示 【参考書】 ・リップマン『探求の共同体——考えるための教室』玉川大学出版部、2014年。 ・河野哲也『じぶんで考えじぶんで話せるこどもを育てる哲学レッスン 増補版』河出書房新社、2021年。 ・アーダコーダ『こども哲学ハンドブック 自由に考え、自由に話す場のつくり方』アルパカ、2019年。 ・同『こどもたちが考え、話し合うための絵本ガイドブック』アルパカ、2023年。 ・坂本尚志『バカロレアの哲学——「思考の型」で自ら考え、書く』日本実業出版社、2022年。 ・平山美希『「自分の意見」ってどうつくるの?哲学講師が教える超ロジカル思考術』WAVE出版、2023年。 ・ブルニフィエ『知るって、なに? 新版』朝日出版社、2020年。(など) ・NHK Eテレ「Q-こどものための哲学」制作班『べんりってほんとうにいいこと?』ほるぷ出版、2018年。(など) |
成績評価の方法 /Evaluation |
【評価方法】 ①授業参加度:60% ②この授業についての考えをまとめた小レポート:20%×2回 【評価基準】 ①授業に出席するだけでなく、グループや全体での議論に参加していることで点数になります。 ただし、こういった授業での「授業参加度」というと「=発言回数」と誤解されやすいですが、(発言することももちろん重要な授業参加ではありますが)他の人の意見をちゃんと聞くことや自分の中で考えを深めることも重要な授業参加です。こういった「授業(議論)に参加する姿勢」を総合的に評価します。 ②学期の中間と最後で、授業の進め方や特に気になったテーマについて、考えをまとめたレポートを提出してもらい、その内容を総合的に評価します。 【課題(試験やレポート)に対するフィードバックの方法】 授業の中やmanabaでフィードバックを行います。 |
備考 /Notes |
【討議(ディスカッション、ディベート)を取り入れている】 【グループワークを取り入れている】 【発表(プレゼンテーション)を取り入れている】 【フィールドワーク、実習、実験、実技を取り入れている】 |
科目と卒業/修了認定に関する方針(ディプロマ・ポリシー)の対応一覧
/Diploma Policy
https://www.shirayuri.ac.jp/campus/enrollment/diploma01.html