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科目一覧へ戻る | 2024/03/14 現在 |
科目名/Course title | 認知心理学特論/Special Topics in Cognitive Psychology |
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担当教員(所属)/Instructor | 鈴木 忠 (人間総合学部発達心理学科) |
授業科目区分/Category | 修士 発達心理学専攻専門科目 |
授業形態/Type of class | 演習 |
開講期/Semester | 2024年度/Academic Year 前期/SPRING |
開講曜限/Class period | 水/WED 3 |
対象所属/Eligible Faculty | 大学院文学研究科修士課程/Graduate School of Liberal Arts,大学院文学研究科博士課程(後期)/Graduate School of Liberal Arts,大学院文学研究科博士課程(前期)/Graduate School of Liberal Arts,大学院文学研究科博士課程(後期)言語・文学専攻/Graduate School of Liberal Arts Department of Language and Literature |
対象学年/Eligible grade | 1年 , 2年 |
単位数/Credits | 2 |
副題 /SubTitle |
身体化認知を学ぶ |
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授業のねらいと達成目標 /Course Objectives |
認知心理学/認知科学の基本的な考え方となった身体化認知(embodied cognition)について学ぶ。身体化認知は、認知を頭の中の情報処理(表象操作)としてだけ考えるのでなく、人間の認知がいかに環境をリソースとして頼りにし用いているかに焦点をあてたアプローチである。状況的認知(situated cognition、grounded cognition)もほぼ同じ考え方である。 授業ではまずオリエンテーションとして、表象操作の極致であるAIの限界に焦点をあてた『AIvs教科書が読めない子どもたち』(新井紀子著)を読む。次に子どもの誤答を生み出す認知過程を詳細に調べた『算数文章題が解けない子どもたち』(今井むつみ他著)を読む。その後身体化(状況的)認知に関する2つの理論的文献を読む。それらを通して、認知心理学/認知科学の基本的な考え方である身体化認知を学ぶことが授業のねらいである。 |
授業概要 /Course description |
1.オリエンテーション:子どもの誤答をめぐって はじめに『AIvs教科書が読めない子どもたち』を読む。数理科学者である著者がAIの思考の限界を指摘し、AIに代替されない人間独自の能力とは何かを論じる。情報化が急速に進む現代においてその能力が子どもたちの身についていないことの危機感が表明されている。 その危機感を受ける形で、子どもの「つまずき」を心理学の立場から詳細に実証したのが『算数文章題が解けない子どもたち』である。著者が言うように「すべての誤答には子どもなりの理屈がある」。誤答を単なる「正解でない回答」として済ませるのでなく、子どもなりの能動的な認知的所産として、その生成過程を理解しようとすることはピアジェ以来の認知心理学の核心である。著書では、認知的リソース、日常経験との相互作用、実行機能の理論などを適用して子どもの「つまずき」を解明し、「生きた知識」(=使える知識)がどうすれば身につくのか、及びそのための支援が論じられる。 2.身体化認知の基礎理論 上記の著書に「身体化された知識」という表現が使われているように、身体化認知は現在の認知心理学の基本的な考え方になっている。この考え方は認知哲学者A.Clarkによる「拡張された心」(extended mind)という考え方の提唱を一つの契機とする。コンピュータやインターネットの利用を単なる道具使用とみなすのでなく、認知機能そのものの外部化と捉え、マインドそのものの概念を拡張して捉えるべきだとする考えである。人間の認知は「表象操作」のみによって問題を解決するのが本領なのではなく、外界にあるモノを使って問題を易しくし認知的負荷を減らそうとしていると主張するのである。最初に読むD.Kirshの論文(Problem solving and situated cognition)はそういった知見や事例を豊富に紹介しながら身体化認知のリアリティを説得的に論じている。『知識は身体からできている』は身体化認知に関して、日本語で読める数少ない解説書である。 |
授業計画(授業の形式、スケジュール等) /Class schedule |
第1回 オリエンテーション 第2~4回 『AIvs教科書が読めない子どもたち』を読む。 第5~8回 『算数の文章題が解けない子どもたち』を読む。現代はAIが日常生活に浸透している高度情報社会である。AIは生活を便利にするだけでなく、仕事の上で人間に取って代わるという懸念が現実のものとなりつつある。これらのテキストを読むことを通して、高度情報社会における発達支援や教育のあり方を考えたい。 第9~11回 D.Kirsh “Problem solving and situated cognition”を読む。認知の発達やいかにして外界(環境)から影響をうけ、また外界をリソースとして利用するものであるかという視点(生態学的および発生的認識論に通じる)を知ることで、発達を環境との相互作用として捉える見方を学ぶ。 第12~15回 『知識は身体からできている』(フィンチャー-キーファー著)を読む。言語や概念的知識を獲得する上で、感覚や身体的経験がいかに環境との相互作用に役割を果たすかについて、脳科学的・神経科学的観点からの理論と知見を学ぶ。 |
準備学習・履修上の注意 /Notices |
毎回読むテキストの分量がかなり多いので、そのつもりで受講してほしい。受講者が交代でレジュメを作り発表する。全員がテキストの内容について自分の意見をまとめ、討論に参加することが期待される。 |
教科書・参考書等 /Textbooks |
【教科書】 特に指定しない。 【参考書】 ・『AIvs教科書が読めない子どもたち』(新井紀子著、東洋経済新聞社、2018) ・『算数文章題が解けない子どもたち』(今井むつみ他著、岩波、2022) ・D.Kirsh (2009) Problem solving and situated cognition.(出典はP.Robbins & M.Aydede(Eds.), The Cambridge Handbook of Situated Cognition(pp.264-306), Cambridge UP.) ・『知識は身体からできている』(フィンチャー-キーファー著、新曜社、2021) |
成績評価の方法 /Evaluation |
【評価方法】 授業での発表と討論への参加(80%)およびレポート(20%)により評価を行う。 |
備考 /Notes |
【討議(ディスカッション、ディベート)を取り入れている】 【発表(プレゼンテーション)を取り入れている】 |
科目と卒業/修了認定に関する方針(ディプロマ・ポリシー)の対応一覧
/Diploma Policy
https://www.shirayuri.ac.jp/campus/enrollment/diploma01.html