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新入生の皆さまへの学長メッセージ

2020年4月1日

 新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。
 このたび白百合女子大学に入学されたみなさんに、教職員を代表して心よりお祝い申し上げます。また、これまでみなさんを心身ともに支えてこられた保護者のみなさまにも、心よりの祝意をお伝えいたします。今年は新型コロナウィルス感染予防のため、入学式を中止することとなりました。やむを得ないこととはいえ、非常に残念に思います。

 本学は、シャルトル聖パウロ修道女会を設立母体とする、カトリック系のミッションスクールです。したがって、入学式や卒業式、創立記念日など重要な式典の際には必ず聖書が朗読され、ミサがささげられます。
 本日みなさんにお届けしたい聖書の箇所は、マルコ福音書の「からし種のたとえ」です。今から
2,000年前にガリラヤ地方で育ったイエスの言葉には、大自然の中から生まれ、パレスティナの大地に根ざしたものが少なくありません。


  神の国を何にたとえようか。どのようなたとえで示そうか。それは、からし種のようなものである。土に蒔くときには、地上のどんな種よりも小さいが、蒔くと、成長してどんな野菜よりも大きくなり、葉の陰に空の鳥が巣を作れるほど大きな枝を張る。(マルコ43032


 からし種は、直径
1ミリから1,5ミリぐらいの小さな野菜の種で、重さはわずか1ミリグラムだそうです。かろうじて目に見える程度のささいなものが、やがて高さ34メートルもの背丈へと成長していく、そのダイナミックさが神の国にたとえられています。
 ここでイエスは、神の国の成長を「からし種」を用いて語っていますが、本来ならばもっと立派な樹木を引用してもよかったはずです。たとえば、見るからに立派で、建材や船材としても申し分のない「レバノン杉」なら、神の国のたとえとしても最適でしょう。しかし、あえてこのからし種のような小さいものを取りあげたところに、イエスの温かいまなざしを感じることができるように思います。弱く小さな者にいつくしみの目を注ぐイエスの愛に触れることができます。
 この「からし種のたとえ」を白百合女子大学にあてはめて考えてみると、次のように言うことができるのではないでしょうか。今から55年前、本学は小さな種として調布市の緑豊かな地に蒔かれました。この一粒の種は、太陽の光を浴びながら、雨や風に打たれながら、半世紀の時間をかけて徐々に枝葉を広げ、今日では約20,000名の卒業生を輩出するまでに成長しました。
 一人ひとりの人生に独特の色と個性があるように、本学にも独自の歴史と校風があり、また教育理念があります。その特色を一言で表現するなら、キリスト教精神に基づく全人教育を通して、次世代を担う女性の育成を目指していることです。このすばらしい環境の中で、国際的な視野を身に付け、豊かな教養と専門的な知識を修得することは重要です。しかし、そのことだけにとどまらず、弱く小さな人々に手を差し伸べ、他者の苦しみや痛みを理解し、地域社会と世界に貢献する自立した女性になっていただきたいと思います。
 白百合女子大学は、まごころこめて、みなさんのお一人おひとりと関わらせていただきます。これからの4年間のみならず、卒業後も、できれば生涯をともに歩み続ける大学でありたいと願っております。ご入学の良き日に、神様のあふれるばかりの祝福と恵みがみなさんとそのご家族の方々のうえにありますよう、心よりお祈りいたします。


2020
41
白百合女子大学 学長
髙山 貞美

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