学びの内容

「どんな授業?」シリーズ:海老根ゼミ

2023年12月18日

白百合のフランス語フランス文学科では、3,4年生の全員が「専門ゼミ」に所属します。今回は例として、海老根龍介教授のゼミの様子をご紹介します。

海老根:今日は海老根ゼミの学生である、3人の3年生にお話をうかがいます。「語りなおし」や「作りなおし」に注目しながら、芸術作品の分析方法を身につけていくゼミですが、皆さんはなぜこのゼミを選んだのですか?

R・S :「語りなおし」や「作りなおし」は、ジャンルを問わず芸術作品全般に見られますが、このゼミでは映画や舞台を題材にすることも多いと聞いて、ふだんからよく舞台を見に行く私は、はじめからとても興味をもっていました。

M・W: 私は芸術作品がとくに好きなわけではなく、映画はたまに見に行きますが、舞台を見たことはありませんでした。1年生のときに海老根先生にフランス語を教わっていて授業の雰囲気をよく知っていたのと、2年生のときに「専門ゼミ準備研究」という、フランス語フランス文学科の先生たちが交代でゼミ紹介をしてくれるリレー授業を受けて、面白そうだったので選びました。

K・O:私もWさんと同じです。

海老根:実際にゼミに参加してみてどうですか?

K・O:とても楽しいです。前期はゼミ全体で『ロミオとジュリエット』について考えました。『ロミジュリ』といえば、もちろん元はイギリスの演劇作品ですが、実はフレンチ・ミュージカルも有名で、日本でも形をかえて上演されています。フランス版をフランス語で見て日本版と比べ、話の内容だけでなく、舞台の作り方や演出の違いなどを、その理由や効果を含めて考察しました。

M・W:シェークスピアの原作やバレエ版、映画版も扱いましたし、『ロミジュリ』をベースにしたミュージカル映画『ウエストサイド物語』を分析したのも面白かったです。フランスのものを中心としながら、それ以外の作品にも触れました。何度もいろいろな形で「作りなおし」が行われていて、時代や場所、ジャンルなどによって、伝え方だけでなく、設定や話の内容そのものが変わることが興味深かったです。私はファッションや建築が好きなので、舞台衣装や大道具、舞台装置などに注目して見る楽しみも知りました。

R・S:私が好きな2.5次元の作品でも活躍している俳優さんが、『ロミジュリ』の日本版の舞台の一つでティボルトという役を演じたこともあって、熱意をもって取り組めたと思っています。ティボルトという人物が、台本や演出によってどう変化するか考えて、前期のレポートを書きました。ゼミでは前期と後期にけっこう長めのレポートが課され、論理性や客観性をもって分析することが求められますが、興味が持てるテーマなので、集中力を切らさずに取り組み力をつけることができています。

海老根:後期は自分で選んだ作品について、発表も求められますね。

R・S: はい、みんながそれぞれ自分の気になっている作品を、「語りなおし」「作りなおし」の観点から分析し、資料を提示しながら発表します。17世紀フランスの作家シャルル・ペローの童話のその後の「語りなおし」や、パリのオペラ座で上演された「シンデレラ」のバレエ版、聴覚障害をテーマにしたフランス映画とそのリメイク版、フランスの作品をもとにしたディズニー作品など、テーマは本当にさまざまです。

M・W: 毎回いろいろな作品について考えることができるので興味はつきません。

K・O:発表を聞いた後は、4,5人のグループでディスカッションをします。みんな他人の意見を尊重しながら、自分の意見を述べることができていて、有意義な時間だと感じています。先生が授業のたびにグループのメンバーを変えてくださるので、自然といろいろな人と話をする機会ができるのもうれしいです。各グループの代表者がディスカッションの内容をもとに、発表者に対してコメントや質問をして、議論を深めていきます。自分が気づかなった指摘などもあり、毎回楽しみです。

海老根:ほかにゼミで気に入っていることはありますか?

M・W:夏にみんなで『ファントム』という、ミュージカルの舞台を見に行ったのは、とても楽しかったです。生の舞台を見るのははじめてだったのですが、俳優さんの演技や歌、話の内容はもちろん、衣装や大道具などにも魅了されました。来年もぜひみんなで観劇する機会があるといいなと思っています。

K・O:この3人は1年生のフランス語が同じクラスで、今でも仲良しです。学年が上がると授業で会う機会も減りますが、ゼミでは毎週顔を合わせるのでそれを楽しみにしています。でももっといいのは、グループ・ディスカッションをつうじて、普段なかなか接点を持ちにくい先輩たちと話ができるようになったことです。

R・S:本当にそう思います。皆さんとても優しいし、就職活動のアドバイスをいただくこともあり、得るものはとても多いです。4月からは後輩が入ってきますが、私たちもあたたかく迎えるようにしたいですね。


 
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