学びの内容

【OC報告】8月6日(土)オープンキャンパス報告 模擬授業について

2022年8月10日

8月6日(土)に第3回オープンキャンパスが行われました。
おかげさまで天候にも恵まれ、たくさんの方にご来場いただきました。
第3回オープンキャンパスで行われた模擬授業の内容についてご紹介いたします。

模擬授業①
日本語学「150年前の日本語——明治時代へタイムスリップ——」
担当:常盤智子先生
 
150年前の日本にタイムスリップしたとしたら、当時の人と普通にコミュニケーションができるのでしょうか?
当時の人に「ここはどこですか?」と聞いてみて、「ここは東京である」と返ってきたとします。ですがこの言葉は「とうきょう」ではないかもしれません。当時、「とうけい」という読み方もあったからです。
明治6年に出版された『英和通信』には東京を「TOKEI」と記したところがありました。
 
もし犬を見かけて「可愛いワンちゃんだ!」と言ったとしたら、当時の人は怪訝な顔で「これはカメである」と言うかもしれません。
当時、洋犬(ようけん・外国種の犬のこと)を「カメ」と呼んだそうです。明治3年~9年刊 『西洋道中膝栗毛』には「異人館の洋犬」という文章に、かめ、とふりがながついていました。これは西洋人が犬を呼びつける時の"come, come" が転じた呼び名だと、大正14年の『明治奇聞』に説明があります。誰もが知っている言葉に説明はいらないので、大正時代にはカメという呼び名はすでに一般的でなかったのかもしれませんね。
 
これらを含む約150年前の4つの言葉を読み解きました。現代と共通点があるからこそ気づきにくいこと、当たり前だと思っていたことがそうではないかもしれないこと。
資料を用いて探索していく、「日本語」を学問とする面白さを味わえる授業でした。



模擬授業②
古典文学「文学・絵画の『平安京』~芸術家をめぐる知られざるエピソードと平安京の生活~」
担当:伊東玉美先生
 
『枕草子』作者として有名な清少納言。彼女は、漢籍に詳しいとても学のある女性でした。
一条天皇中宮定子に仕えた後、零落したと言われていますが本当でしょうか?
『古事談』には「零落したる清少納言、秀句のこと」という説話があります。
牛車に乗った若い殿上人たちが清少納言の家の前を通りかかり、廃れたその外観を見て「落ちぶれたものだなあ」と話します。
清少納言はそれが耳に届くや否や、「駿馬の骨をば買わずやありし(駿馬の骨は買わなかったのか)」……と返します。
 
これは、中国・戦国時代の燕の照王が政治家である郭隗(かくかい)に、国に賢者を招く方法を尋ねた際の故事
「燕王馬を好み骨を買ふ事なり」(『戦国策・燕』)を踏まえての言葉です。
「名馬を集めるには、死馬の骨さえ高値で買う王との評判が立てると良い」という郭隗の言葉を元に清少納言は「優れた女性は老いても大切にする、そんな心掛けでないと偉くなれないわよ」と皮肉ったのでした。
漢籍に詳しい様子は『枕草子』の280段「雪のいと高う降りたるを」でも垣間見えます。
零落したと言われていても、変わらず学があり機転の利く、とても賢い女性であったことが読み取れますね。
 
この他にも、牛車、和泉式部、鳥獣戯画の作者についてなど、資料やクイズを交えながら学びました。
平安京の世界に入り込んだ気分になれる授業でした。



今年度の夏のオープンキャンパスは今回が最終回となります。
次回のイベントは9月18日(日)秋季キャンパスガイダンス(完全予約制)となります。
予約開始までしばらくお待ちください。

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