学びの内容

【OC報告】7月16日(日)オープンキャンパス報告 模擬授業について

2023年8月3日

7月16日(日)に今年度2回目のオープンキャンパスを開催しました。
1回目と同様、青空に恵まれ、たくさんの方に足をお運びいただきました。ありがとうございました。
それでは、第2回オープンキャンパスで行われた模擬授業の内容についてご紹介いたします。
 
模擬授業①
日本語学「母は昔、パパだった?—ハ行子音の歴史的変化—」
担当:川瀬卓先生
 
授業では、皆で実際に発音をしながら、子音の分類の三つの観点「どこ(調音位置)」「どのように(調音方法)」「声帯のふるえの有無」を捉えようと試みました。
この観点で「は」の発音について考えると、不思議な特徴に気づきます。
「か/が」「さ/ざ」「た/だ」「は/ば」を比べると、「は/ば」以外は同じ調音位置・方法で「声帯」が震えるかどうかが清音/濁音の分かれ目になっていますが、「は/ば」だけ調音の位置や方法も違います。「は」は唇を閉じないのに、「ば」は唇を閉じる必要がありますね。
では、唇を閉じて、声帯が震えない音は何かというと、「ぱ」になります。
ここから、昔は「ば」と同じように唇を閉じて発音していたのが歴史的に変化して現在の「は」の発音になったのではないか、そのために「は/ば」だけ発音上、他のペアと違う関係になってしまったのではないかと考えることができます。現代語の体系から過去の音を推定したんですね!
この推定をもって、各時代での「は」の発音に注目してみました。室町時代のなぞなぞ(Instagram に投稿したクイズ記事をご覧ください!)、ポルトガルの宣教師達が日本で宣教活動を行うために編んだ日本語の資料、江戸時代の仮名遣いの資料などを見ると、かつては「パ」と発音していた「は」が、「ファ」という発音に変わり、江戸時代の初めごろに現在の「ハ」という発音になったことが確かめられました。
「母は昔、パパだった?」という講義の題目は、「は」の発音がかつては「パ」だったことを示しているのでした。
日本語の歴史の調べ方や、語学を学ぶという事が体験できる、貴重な時間でした。


模擬授業②
近世文学「江戸の女子会—「推し」に「占い」、「クッキング」—」
担当:宮本祐規子先生
 
〈推し活〉と聞くと、芸能人という言葉が浮かぶと思います。江戸の芸能人と言えば歌舞伎役者一択!今もCMに人気の俳優さんが出るとその商品が売れるのと一緒で、例えば、歌舞伎役者が実際に使っている白粉といった商品が江戸時代にも売られたんですね。実際に販売している商品名を作中に登場させる出版物とのコラボも展開されていました。また、人気なもの同士をかけ合わせればもっと好きになるかも!?という発想で、役者の顔をした猫や金魚の浮世絵(今でいうポスター)や推しうちわも作られていたんですよ!これらを買い求めて、江戸の女性ファンたちは「なんて素敵!」と〈推し活〉をしていたのでしょうね。
それから、江戸の女性は占いが大好きなこともわかりました。女性用の往来物(おうらいもの:江戸時代のいわゆる教科書)に簪(かんざし)を使った身近な占い方法が書いてあったことからも、どれくらい占いが浸透していたかが読み取れます。
さらに江戸時代にはお料理の本も数多く出版されています。
授業では、お花の形をしたピンクのゆで卵の作り方や、お菓子カタログなど、いろいろなタイプの料理の本が紹介された後、皆で「すきやき」のレシピを、くずし字のまま読んでみました。解読してみると、現在の鍋料理とは違う、鋤(すき:農具)の上で焼くという料理だとわかり、名前だけが残っているんだと驚きました。
現代とつながっているものと、変わっていったものと、両方を知ることができるのが国文学の魅力であり、重要な意味なのかもしれないと感じられる時間でした。

 

次回のオープンキャンパスは8月6日(日)に開催されます。
近代文学・古典文学の模擬授業をご用意してお待ちしています。
(事前予約をして頂くと入場がスムーズです。オープンキャンパス特設サイトよりご予約ください。)
 
こちらに掲載しきれなかった当日の様子は国語国文学科公式Instagramでも紹介しています→こちらから
ぜひフォローをお願いいたします。
 
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