白百合について

学長室の窓から No.2

2020年5月1日



ウイルスは、人の目には見えません。
どこにいるのかも分かりませんし、自分が感染しても、症状が出なければ、感染していることにも気がつきません。
こういう状況ですと、何をしてよくて、何をしてはだめなのかの判断が付きにくくなってしまいます。不安が高まると、家から一歩も出なければいいんだとさえ思いたくなるだろうと思います。
新型コロナウイルス感染症の蔓延状態に対して、「新型コロナウイルス感染症との闘い」とか「みんなで協力してウイルスに打ち勝とう!」というような言葉が出されることもあります。ウイルスや状況を擬人化して表現することは、適切な行動のための意識を高めることには有効だろうと思います。
でも、考えてみてください。
当たり前のことですが、ウイルスには脳も神経もありません。ウイルスは、何も考えていませんし、人に感染してやろうといろいろ作戦も練っていません。ウイルスは、ただ、そこにいるだけです。
ウイルスは、私たちが身を潜めていても、密かにどこからか忍び込んで悪さをすることはないのです。ウイルスに感染するのは、ただただ、私たちがどのように行動したか、どのような生活を送っているかにかかっているといえるでしょう。

※この文章は、白百合女子大学の学生さん、教職員のみなさん向けに作成した『適切な行動は適切な考えから:私たちに望まれる心構え』の冒頭部分を抽出したものです。『心構え』文書は、以下でご覧いただけます。

『適切な行動は適切な考えから:私たちに望まれる心構え』

追伸
ちょっと気分を変えて、花の写真を2つ。この花は、日本の夏山によく咲いているチングルマ(稚児車)という高山植物です。花が枯れたあとの姿が、子どもの持つ風車に似ているところから名付けられたと言われています。この写真は、2001年7月29日に北海道の大雪山で撮りました。18年以上前です。写真に写っている花はもうありませんが、この花から落ちた種から生まれた花が順番に毎年、咲いています。今年の夏も大雪山ではチングルマがたくさん咲くことと思います。命はつながっていくのです。

     

 

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