人生は進学や就職など選択の連続です。いくつかある選択肢の中からどれかを選んで先へ進み、現在に至っているわけですが、何かを選んだということは選ばなかった選択肢があるということでしょう。それにそって歩んだかもしれない「選ばなかった道」について、人はどのような思いをもち、発達にどのような意味や機能をもっているのでしょうか。
発達研究に限らず心理学は一般的に、現実世界での経験が「心」にどのように作用したか、という問いが立てられます。ライフコースでいえば、現実世界で歩んだ道でどうなったのか、という問題が研究されることが多いです。しかし現実の経験とはならなかったもの――「選ばなかった道」はどうなのでしょうか?発達や心理に何らかの作用を及ぼしているのでしょうか。