大学の授業で出会った英詩の面白さに魅了され、20代後半を大学院生としてイギリスで過ごしました。外国語・外国文化を学ぶことは、自身の母語・育った文化圏を外から眺めることを可能にしてくれます。そのような「自分が属する文化の相対化」を経てこそ、異文化への理解が深まり、他者への想像力が涵養されていくのではないでしょうか。学生の皆さんが本学での学びを通して、感性をますます豊かに、知性をいっそう明敏に育てていかれることを願っています。

水越 あゆみ 教授
- 専門分野
- イギリス文学・文化
担当科目
英語英文学科
- 1年セミナーA
- イギリス文化史 I / II
- イギリス文学鑑賞A
- イギリス文化研究
- 3年セミナー I / II
- 特別演習 I / II
- 卒業論文
大学院文学研究科
英米文学演習E
担当科目の内容
英語英文学科
イギリス文化史 I / II
本講義のテーマは、「近現代イギリス服飾史」です。
ファッションとは決して軽佻浮薄なものではなく、ある時代のイデオロギーの具現化でもあります。本講義では、18世紀半ばから20世紀にかけてのイギリスにおいて、「ナショナリズム」や「フェミニズム」等の近代的理念が当時のファッションにどのように顕現していたか、詳細に分析します。
イギリス文学鑑賞 A
本講義のテーマは、「英語詩」です。
「詩」とは、ある言語の音楽的な特性を具現化した芸術ジャンルです。英語詩を学ぶことによって、英語の「音楽性」を体感してみましょう。本講義では、易しい英語で書かれた子ども向けのナーサリーライム(「キラキラ星」)から、イギリスの文豪シェイクスピアの作品(ソネット18番)まで、幅広く学びます。
イギリス文化研究
本講義のテーマは、「イギリス児童文学の誕生と発展」です。
高名な『ハリー・ポッター』は言うに及ばず、『不思議の国のアリス』や『ピーター・パン』、『クマのプーさん』、『ナルニア国物語』、『ライラの冒険』等、イギリスでは19世紀後半以降、現在に至るまで、優れたファンタジー児童文学作品が数多く生み出されています。本講義では、イギリスにおいて「児童文学」という文芸ジャンルが、いつ、どのように誕生し、その後どのように変容したか、詳細に分析します。
大学院 文学研究科
英米文学演習E
本演習の目的は、「英文学」という制度が成立した歴史的経緯の理解、および、文学研究の手法の獲得、以上二点です。
本演習では、18世紀以降、近代国民国家として発展したイギリスにおいて、「国民文学として のイギリス文学」がどのように成立したか、その歴史的経緯を詳細に分析します。加えて、代表的なイギリス文学作品(特に「詩」)を 取り上げ、テクストを精読しながら、文学研究における複数のアプローチ方法を学びます。
業績
著書
- 単著 Keats, Hunt and the Aesthetics of Pleasure (Palgrave Macmillan, 2001)
- 共著 European Romanticism: A Reader (Continuum, 2010; Bloomsbury Academic, 2014)
論文
- 単著 "The Cockney Politics of Gender -- The Cases of Hunt and Keats", Romanticism on the Net (May 1999)
- 単著 「読者の楽園—ロマン主義詩人キーツは如何にして『パラダイス・ロスト』を誤読したか?」『英語青年』第154巻第9号(2008年)
- 単著 「文学的価値とジェンダー—英国ロマン主義詩人ジョン・キーツの数奇な運命—」『言語・文学研究論集』第25号(2025年)
経歴
学歴
- 1989年3月 神戸女学院大学 文学部 英文学科 卒業(文学士)
- 1991年3月 京都大学 大学院 文学研究科 英語学英米文学専攻 修了(文学修士)
- 1997年12月 オックスフォード大学(University of Oxford, UK)大学院 博士課程 英文学専攻 修了
- 1998年8月 同大学よりDPhil(Doctor of Philosophy)授与
職歴
- 1998年4月 帝京平成大学 情報学部 講師
- 2005年4月 帝京大学 文学部 講師
- 2008年4月 帝京大学 外国語学部 准教授
- 2018年4月 白百合女子大学 文学部 教授
所属学会
- 日本英文学会
- 日本比較文学会
- 京大英文学会