乳幼児期の活動は常に創造的です。初等教育における礎でもある乳幼児期を学び、その先の子どもの創造性を考えていきます。
授業内容は、子どもたちの豊かな情操を育む基盤となる生活=保育を発達とともに理解し、表現活動の援助を授業で体験しながら学びます。幼児の興味関心に触れていき、遊びから学ぶ数々の現象を捉え、子どもがどのような表現の可能性を持つのかを学びます。また、子どもの様々な表現活動の本質を捉えていけるよう、発達や表現のプロセスについての理解を深め、子どもの視線の先を広い視野で見ていける指導者の自覚を育みます。授業で行う造形体験を通し自身も描くことやつくることを楽しみ、その過程で大人と子どもの表現の違いを知り、素材や用具について理解と配慮を考察していきます。
学校教育で使用される教材は、義務教育を終えてから日常生活でほとんど手にすることがなくなります。それらの素材や描画財を再度手にし、素材から感じ、表現することの楽しさを再発見していきます。その活動の中で自身の教育活動に生かす手立てとなる教育的な側面を模索していきます。また制作していくプロセスを振り返り、発想や発見の目を再発見していきます。同時に鑑賞から学びを体験し、鑑賞について理解を深め、解釈を広く持ち、制作につなげる経験をしていく授業を行います。
8回の授業のうち4回は調布市近郊の保育所で体験的に学び、残りの4回は保育所での学びを振り返りながら学びの系統化を目指す点も保育体験ⅠとⅡは同様です。保育体験ⅡはⅠでの学びの延長線上に設定されています。そのため、保育体験Ⅰで作成した記録、レポート等を活用しながら授業を進めていく予定です。
初等教育をめぐる諸問題について、子どもの発達と保育学・教育学、社会福祉・児童福祉、領域・教科等の内容、領域・教科等の指導、子どもの生活と生活指導、教育実践・保育実践などに即して幅広くトピックスを取り上げ、幼児教育・保育及び児童教育全般への関心と理解を広げます。子どもが学ぶ多様な内容、子どもが教室で経験する多様な出来事、そして子どもの発達とそれを導く教師の役割などについて探求するとともに、各担当教員が専門の立場からどのように問題として捉え、どのように研究していくかについても学んでいきます。まず6名の教員が3名ずつ2グループを作り、履修者も2グループに分ける。各グループの教員はそれぞれの専門領域から5回で扱うトピックスを持ち寄り、各グループの学生をさらに3班に分けたうえで、各班をローテーションで指導します。担当教員それぞれの授業概要は以下の通りです。教師以外の視点で捉えた子どものを取り巻く世界を感じ取る。その手段として世界観が可視化されている映画の鑑賞を行う。非言語的な表現からも映画に込めた意図をそれぞれが感じ、同履修をしている他者の多様な思いを共有し、表現を受け取る側の解釈の多角さを知る。違う価値観を受け入れ、認め、自身の思考の視野について考察する機会にします。
この授業は、幼稚園における専任教諭としての実務経験のある教員による授業であり、実際の教育現場における教育・保育経験を生かして実践的授業を行います。
授業計画前半では、一斉保育における製作活動や図画工作で行う製作を実践し、その活動の意味を探り、子どもの育ちへの課題や問題点を批評的視点を持ってグループワークで抽出する。この製作活動は部分実習や責任実習、教育実習に対応できることも視野に入れています。 中盤では子どもに関わる映像鑑賞を行う。そこから自己の考えを柔軟に持ちつつ、学生それぞれの価値観や認識を感じ認めていくグループワークを行います。後半は子どもと保育(学習)と造形活動(図画工作)を結び付けていく糸口を探りに、実際の現場に出向き、実体験を通して考えていきます。
子どもたちは、生活の中で、「身体表現」「言葉の表現」「音楽表現」「造形表現」などさまざまな表現の統合を、ごく自然に行っています。子どもたちは、いろいろな言葉を口ずさみながら踊り、絵描き歌を歌いながら絵を描きます。私たちは、ややもすると、形態の異なる表現をそれぞれの専門科目の中で独立して学ぶことになりがちであることに注意する必要があります。授業では、保育におけるさまざまな表現形態の融合による表現の可能性を探るとともに、現場における保育・教育のあり方を考えます。