小さい頃は親にマンガを禁止されていて、本格的にマンガを読み始めたのは、20代の終わりになってからでした。大学院の博士課程に進んだはいいものの、文学の研究が思うようにいかず燻っていたときに、古書店で何気なく手に取ったマンガがすごくおもしろくて、なんというかこう、雷に打たれたような気分でした。「文学を研究するようにして、マンガを研究することができるんじゃないだろうか?」……そんな直感に突き動かされるようにして、今日までやって来ました。「マンガばかり読んでないで勉強しなさい!」という言い方がありますが、いまはマンガばかり読んでいると博士号を取得できたり、大学で働けたりする時代です(いい時代)。マンガは読者として読むだけでも十分たのしみを与えてくれますが、研究対象として向き合ってみると、作品のより深いところまで潜れるだけでなく、社会や人間のこともちゃんと考えられるようになるのでオススメです。

トミヤマ ユキコ 准教授
- 専門分野
- 日本近現代文学、マンガ研究、文芸創作
担当科目
■人間総合学部 児童文化学科
子どもと社会
少女マンガ論
サブカルチャー論
基礎演習
演習
卒業論文
■大学院文学研究科 児童文学専攻
児童文化特殊研究
修士論文指導
研究指導
担当科目の内容
■人間総合学部 児童文化学科
◇子どもと社会◇
「子どもが社会と出会うとき」をテーマに研究書、日本文学、絵本、マンガ、アニメといったジャンルを横断しながら作品分析を行います。フィクションを題材に児童(文化)と社会がどのように繋がり、切れているかについて考察することで、実社会における子どもと社会のありようもまた浮かび上がってくるでしょう。
◇少女マンガ論◇
「少女メディアの歴史的変遷」をテーマに、日本の少女小説および少女マンガ作品を鑑賞しながらその歴史を追っていきます。また、そもそも、「少女」という存在がどのように誕生したのかについても確認することで、日本における少女および少女メディアをその根幹から理解し、さまざまな作品を分析・考察するための総合的な力を身につけます。
◇サブカルチャー論◇
「中心と周縁のダイナミズム」をテーマに、文学、マンガ、ファッション、スポーツ、料理におけるサブカルチャーの様態について学びます。サブカルチャーと聞くと、アニメやマンガのことだと考える風潮がありますが、実際のサブカルチャーはより広範に及ぶものです。さまざまな事例の紹介を通じて、文化的事象を自身のことばによって分析・考察できるようになることを目指します。
■大学院文学研究科 児童文学専攻
◇児童文化特殊研究◇
日本のマンガ(その中でも特に少女マンガ・女子マンガと呼ばれるもの)を主な対象に、研究者視点でマンガを読み、分析・考察するためのレクチャー、発表、討議を行います。
業績
◇単著
- 『バディ入門 「ツレ」がいるから強くなれる!』(大和書房、2024)
- 『ネオ日本食』(リトルモア、2024)
- 『労働系女子マンガ論!』(タバブックス、2023)
- 『女子マンガに答えがある! 「らしさ」をはみだすヒロインたち』(中央公論新社、2023)
- 『10代の悩みに効くマンガ、あります!』(岩波ジュニア新書、2023)
- 『少女マンガのブサイク女子考』(左右社、2020)
- 『夫婦ってなんだ!?』(筑摩書房、2019)
- 『40歳までにオシャレになりたい!』(扶桑社、2018)
- 『パンケーキ・ノート おいしいパンケーキ案内100』(リトルモア、2013)
◇共著
- 『高校生と考える人生の進路相談』(左右社、2024)
- 『文庫版 大学一年生の歩き方』(集英社文庫、2023)
- 『宗教2世』(大田出版、2022)
- 『見た目が気になる 「からだ」の悩みを解きほぐす26のヒント』(河出書房新社、2021)
- 『生活を究める スタディサプリ 三賢人の学問探究ノート(5)』(ポプラ社、2021)
- 『恋って何ですか? 27人がすすめる恋と愛の本』(河出書房新社、2019)
- 『さよなら!ハラスメント』(晶文社、2019)
- 『大学1年生の歩き方 先輩たちが教える転ばぬ先の12ステップ』(左右社、2017)
- 『大人アイドル プロフェッショナルとしてのV6論』(サイゾー、2016)
- 『大正イマジュリィの世界』(ピエ・ブックス、2010)
- 『小林かいちの世界 まぼろしの京都アール・デコ』(国書刊行会、2007)
経歴
早稲田大学法学部卒業後、早稲田大学文学研究科に進み、少女マンガにおける女性労働表象の研究で博士(文学)の学位を取得。東北芸術工科大学芸術学部文芸学科専任講師、准教授を経て現職。日本文藝家協会会員(2021-)、手塚治虫文化賞選考委員(2021-)、朝日新聞書評委員(2021、22年度)。