専門分野としては、学生時代からフランスの現代小説、特にアルベール・カミュを研究の対象としてきました。そして、教員としてフランス語を教えるようになってからは、外国語教育をもう一つの専門分野にしています。この二つの専門分野に加えていま興味を持っているのは、人と人とのコミュニケーションとは何かということです。
現在の外国語教育では、文法を理解し、文章を読むだけでなく、いかにして外国語でのコミュニケーション能力を高めるかが課題とされています。したがって、外国語教育を研究することはコミュニケーションとは何かという、より根源的な問を研究することにもなります。そしてこの問は、人と人が交流するあらゆる場面にかかわる問いかけだと言えるでしょう。広くとらえれば、小説も作家と読者のコミュニケーションの場だといえるし、授業も学生と教師のコミュニケーションに他なりません。このコミュニケーションという視点からこれまで研究してきたこと、考えてきたことをまとめてみたいと構想しています。