発達心理学科 2年次必修「心理学実験Ⅰ」の授業で、GSR(皮膚電気反射)を測定するポリグラフ装置を用いて、情動の変化、特に「嘘をついているかどうか」を客観的に評価する実験を行いました。
心理学実験では3年次以降の授業や卒業論文に向けて、実験、アンケート、インタヴュー、観察など発達心理学に関する研究手法を体験的に学びます。
心的ストレスや動揺、緊張、驚きといった心理的要因によって、人は汗を分泌することがあります。これを「精神性発汗」といいます。GSRは、この精神性発汗によって変化する皮膚の電気の通りやすさ(導電性)を測定する方法です。
実験では、まず被験者の2本の指にマジックテープで電極を固定します。電極に触れることで、微弱な電流が皮膚を通して流れます。
リラックスした平常心の状態では、皮膚は比較的高い電気抵抗を示しますが、嘘をついているときや精神的に緊張しているときには、交感神経が活性化し、汗腺の働きが活発になります。
これにより皮膚の表面の導電性が一時的に上昇し、電流の流れが増加します。
ポリグラフ装置は、この電流の変化を波形として記録・可視化します。
精神的に安定している状態では、波形に大きな変動は見られませんが、緊張が高まると波形に顕著な揺れが現れます。
実験では、希望者数名の学生が被験者となり、「あなたの血液型は〇型ですか?」「あなたは〇月生まれですか?」「好きな人はいますか?」などの質問に対し、すべて「いいえ」と答えるというルールで実施されました。
ところが、ある質問の直後、ポリグラフの波形が大きく揺れました。言葉では平静を装っていても、内面の緊張が皮膚に現れます。嘘や動揺が「波形でバレてしまった」瞬間、教室は大きな笑いに包まれました。
この実験を通じて、GSRが心の動きを可視化できる有効な生理的指標であることを、実感をもって理解することができました。
(発達心理学科)