学びの内容

イシイ マサユキ

石井 雅之 教授(全学教養教育連絡会議主事、カトリック教育センター長)

専門分野

キリスト教思想史、哲学・倫理学

自己紹介・学生へのメッセージ

<自己紹介>
千葉県で生まれ育ちました。5歳のときキリスト教に初めて触れました。幼稚園の担任の先生が紹介してくださった日曜学校に一人通い、毎週、聖書のお話をきく時間を楽しみにしていました。
研究では、西洋の古い時代において異なる宗教的伝統が接触する重要場面を文献を通して吟味することから手がかりを得て、現代の倫理の在り方について根本に立ち返りつつ考察することを課題としてきました。最近は、人生の種々の苦難に対して真に力となる心の糧を伝統のなかから取り出し捉え直して、微力ながら世に投じることをあわせて課題としています。
授業では、身近な倫理問題・課題に関して認識を深め考察を加えることを通して、受講者の方々が倫理と宗教の関係、そしてキリスト教にいっそうの関心と理解をもってくださることを願いつつ取り組んでいます。

<学生さんたちへのメッセージ>
学業と学生生活においては、先生方や職員の方々との交流、学生同士の交流を大切にし、また卒業生の方々の活躍にも目を向けつつ、さまざまな人とのかかわりのなかで、専門分野の知識等を究めるとともに、広くバランス良く教養を身につけ、また人間理解を深め、人間性を育んでいくことができるようにと切に願っています。そして、あなたのいのち・一生・日々の生活を、そして同時に、あなたのかかわる人のいのち・一生・日々の生活を大切にする心を育み成熟させていってほしいと願っています。
担当科目
キリスト教学ⅠA・ⅠB
宗教学ⅠA/ⅢA、ⅡA/ⅣA
宗教学ⅠO/ⅢO、ⅡO/ⅣO
宗教学ⅠS/ⅢS、ⅡS/ⅣS
担当科目の内容
◇キリスト教学ⅠA・ⅠB
知性と感性の調和がとれ、豊かな人間性と広い視野のうえに専門的な知識を備えて自立的であると同時に、人間一人ひとりをかけがえのない存在として大切に思い、自ら進んで他者に仕え、社会に貢献しようとする心をもった女性の育成、という白百合女子大学の教育目標に関して、その基礎にあるカトリシズムの人間観・世界観の一端について、単に型通りの知識を得るだけにとどまらず、聖書の重要箇所を読んで自ら考察したり、コミュニオン等を通じて体験的に知ったりすることを目指します。

◇宗教学ⅠA/ⅢA、ⅡA/ⅣA 「現代世界の倫理的問題とキリスト教(演習)」
キリスト教学Ⅰ・Ⅱでの学びを前提として建学の精神及び教育目標に関する理解を発展させ、「他者のために、社会のために、何ができるのかを探求しつづける女性」となるための基本認識を確立することをめざします。孤立と連帯、貧しさと豊かさ、飢えと糧、渇きと水をテーマとして、受講者が調査考察の成果を報告しあいます。

◇宗教学ⅠO/ⅢO、ⅡO/ⅣO 「キリスト教の人間像」
キリスト教学Ⅰ・Ⅱでの学びを前提として建学の精神に関する理解を発展させ、地上を旅する神の民の一員として在り方にかかわる理解と考察を深めることをめざします。おもに旧約聖書の幾人かの有名な人物の生に手がかりを求め、そこに異文化とのかかわりなどを通して神の所在及び神と人間との関係がどのように見いだされるかを中心に考察していきます。

◇宗教学ⅠS/ⅢS、ⅡS/ⅣS 「人間理解の諸問題とキリスト教」
キリスト教学Ⅰ・Ⅱでの学びを前提として、建学の精神及び教育目標に関する理解を発展させ、知性と感性の調和及び他者とのかかわりという面から自己の人格形成の在り方について理解と考察を深めることをめざします。生きていくうえで哲学的な吟味・考察が加えられるべき、世界における人間の位置理解にかかわる概念・トピックの一部を取りあげ、それぞれにまつわる基本的な問題・課題への宗教のかかわりを、特にカトリックの場合に関してみていきます。
業績
■論文・研究ノート・その他
  • 「哲学は嘆き悲しむ人をいかに救うのか—ボエティウス『哲学の慰め』の構想と結末—」『白百合女子大学キリスト教文化研究論集』第23号(2022年5月)、17-49。
  • 「完徳への道における言葉と理性—聖アンブロシウス『ヤコブと幸いな生』導入部(1,1,1-1,3,9)試訳—」『白百合女子大学キリスト教文化研究論集』第20号(2019年3月)、35-55。
  • 「新学習指導要領における道徳科の目標と内容に関する根本的な問い—キリスト教人間学の教育上の一論点として—」上智人間学会『人間学紀要』第48号(2019年2月)、43-69。
  • 「人に対する忍耐2:怒るに遅く、苦しみを共に負う-キリスト教の場合」『倫理』第788号(2018年9月)、 26-33。
  • 「人に対する忍耐1:辛抱強く待つこと」『倫理』第787号(2018年8月)、26-33。
  • 「聖アンブロシウスとマカバイ記の殉教者たちの物語—『ヤコブと幸いな生』第2巻10,43-12,58」『白百合女子大学キリスト教文化研究論集』 第19号(2018年3月)、61-80。
  • 「ギリシア古典の伝統における忍耐の代表的人物像とプラトン的解釈—忍耐観の比較研究のための基礎的考察」『倫理研究所紀要』第27号(2018年2月)、68-97。
  • 「いのちの伝達と継承」日本家庭教育学会編『家庭フォーラム』第28号(2017年11月)19-28。
ほか

■著書・訳書
  • (共著・分担)『日常の中の聖性』教友社、2021年3月(担当:第2章「忍耐の模範と論理—ギリシア古典の伝統の場合のいくつかの要素」)
  • (共著・分担)『カルキディウスとその時代』慶應義塾大学言語文化研究所、2001年3月(担当:第4章「ボエティウスの哲学観と人間的感情の問題—『哲学の慰め』に示された神、世界、人間理解」)
  • (共著・分担)『サン・ヴィクトル派とその周辺』(キリスト教神秘主義著作集第3巻)教文館、2000年4月(担当:リカルドゥス『観想への魂の準備』日本語訳・訳注・解説と解題)
  • (共著・分担)『後期ラテン教父』(中世思想原典集成5)平凡社、1993年9月 (担当:ボエティウス『イサゴーゲー註解(第一公刊本)』解説・日本語訳・訳注)
ほか
経歴
■経歴
八洲学園大学生涯学習学部家庭教育課程助教授・准教授、同大教授、上智大学神学部常勤嘱託教員等を経て、白百合女子大学カトリック教育センター教授。

■所属学協会
上智人間学会、日本カトリック教育学会、日本家庭教育学会、日本倫理学会、中世哲学会、日本西洋古典学会、日本哲学会、ほか
 
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