学びの内容

カワセ スグル

川瀬 卓 教授

専門分野

 国語史(文法史・語彙史)。とくに、日本語の副詞について、個別の語の歴史を明らかにするとともに、そこから見えてくる国語史上の問題や一般的言語変化の特徴についても把握することを目指しています。近年は副詞に加えて前置き表現にも注目し、日本語の対人配慮の歴史についても取り組んでいます。その他、地方議会会議録を用いた社会言語学的研究も行っています。

自己紹介・学生へのメッセージ

 ■国語国文学科
言葉の持つしくみや、言葉のダイナミックな歴史的変化の面白さに出会えるのが国語学(国語史)の魅力です。
言葉は変化し続けるものであり、私たちが現在使っている言葉も歴史的所産として存在しています。日本語はかつてどのような姿をしており、それがどのように変化してきたのでしょうか。なぜそのように変化してきたのでしょうか。それを学ぶことは、人間とことばの関わりについて考える機会となり、言葉に対する私たちの洞察をより深いものにしてくれるでしょう。
何事も徹底的にやって初めて見える世界や風景があります。一緒に言葉の不思議や面白さを追求してみませんか。

■大学院 国語国文学専攻
大学院ではより高度な専門性が求められます。先行研究の読み込み、文献資料の調査、調査によって得られたデータの分析、研究発表とそれに基づく討議といった過程を通して、次のような力を身に付けましょう。
・先行研究を的確に理解し、研究史の中に位置づける能力
・資料から言語事実を取り出し、観察、記述する能力
・自己の研究内容を聞き手に伝え、また、議論する能力
担当科目
■国語国文学科
国語学概論
国語学演習(古典語)
テーマ別研究Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ
卒業論文

■大学院 国語国文学専攻
国語学演習(古代語)
担当科目の内容
 ■国語国文学科
◇国語学概論◇
日本語について様々な観点から考察することで、ことばの不思議とその奥深さを捉え、国語学の基礎的知識、および基本的な考え方を身につけます。
 
◇国語学演習(古典語)◇
コーパス(言語研究用に構築された言語資料のデータベース)を利用した日本語の研究方法を学びます。PCを用いた実習を通して、日本語の歴史を分析する視点を養っていきます。
 
◇テーマ別研究Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ◇
国語史の資料読解、論文読解などを通して、テーマの探し方、日本語の変化をとらえるための具体的な方法、論文の読み方や書き方を身につけることを目指します。
 
◇卒業論文◇
興味のある国語学的テーマについて自ら問題を設定し、テーマ別研究で学んだ方法論をもとに試行錯誤しながら、卒業論文を執筆していきます。
 
■大学院 国語国文学専攻
◇国語学演習(古代語)◇
古代語の資料読解や論文読解を通して、国語史研究の方法を総合的に学びます。見出した国語史的問題を研究史に正確に位置づけたうえで論じられるようになることを目指します。
業績
■著書
  • 『副詞から見た日本語文法史』ひつじ書房、2023年2月

■論文
  • 「副詞から見た古代語と近代語」(野田尚史・小田勝編『日本語の歴史的対照文法』和泉書院、2021年6月)
  • 「副詞「ひょっとすると」類の成立—副詞の呼応における仮定と可能性想定の分化—」『語文研究』第130・131号、2021年6月
  • 「洒落本における不定の「ぞ」「やら」「か」」(筑紫日本語研究会編『筑紫語学論叢Ⅲ—日本語の構造と変化—』風間書房、2021年3月)
  • 「不定の「やら」「ぞ」「か」の東西差と歴史的推移」(金澤裕之・矢島正浩編『SP盤落語レコードがひらく近代日本語研究』笠間書院、2019年8月)
  • 「地方議会会議録による方言研究—セミフォーマルと気づかない方言—」(共著)(日本方言研究会編『方言の研究』1、ひつじ書房、2015年9月)
  • 「副詞「どうぞ」の史的変遷—副詞からみた配慮表現の歴史、行為指示表現の歴史—」(日本語の研究』11(2)、2015年4月)
  • 「叙法副詞「なにも」の成立」(『日本語の研究』7(2)、2011年4月)
など
 
経歴
 1981年、福岡県福岡市生まれ。九州大学文学部卒業。九州大学大学院人文科学府修士課程修了。同博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。弘前大学人文学部講師、同人文社会科学部講師を経て、2019年4月より現職。
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