学びの内容
松田なつみ 講師

マツダ ナツミ

松田 なつみ 講師

専門分野

臨床心理学、発達臨床心理学

自己紹介・学生へのメッセージ

私は、発達障害と呼ばれる、生まれつき世界の見え方や捉え方が多数派と異なっていたり、定型発達と比べた時に能力の凸凹があったりする方々の臨床及び研究に携わってきました。一人一人が持つ生来の気質や特性それ自体が障害ではなく、周囲の環境や他者(特に多数派の人々)との相互作用の中で、困ること(障害)が生まれてくるのだと考えています。臨床も研究も、どうしても、少数派である発達の特性を持つ方々に焦点が当てられて、発達の特性がある方々やその保護者の方々が努力をする形になりがちですが、多数派と少数派の人々がどのように共生できるのかという視点で研究を進めていきたいと願っています。
 介入の技法としては認知行動療法を中心にしており、児童思春期の強迫性障害及びトゥレット症候群という慢性チック障害に対する認知行動療法の臨床と研究を専門としています。その中でも、トゥレット症候群を持つ方々が行うチック症状への自己対処の研究と、その研究成果を認知行動療法に組み入れていくことに現在取り組んでいます。トゥレット症候群を持つ方々は、普段の生活の中で色々な創意工夫をされながら、困りごとや症状と付き合っている方が多くいらっしゃいます。そのようなご経験、知恵や工夫を集約させていただくと共に、私の方でも臨床心理学、特に認知行動療法の知識などを持ち寄らせていただいて、より良い支援につなげていけたらと願っています。 
担当科目
■発達心理学科
臨床心理学演習D、臨床心理学概論、発達教育相談B、心理学実験Ⅱ、
英語論文講読演習、発達心理学演習ⅠB、発達心理学基礎演習B、
 
■大学院 発達心理学専攻
発達心理学特論E、臨床心理実習 
担当科目の内容
◇臨床心理学演習D◇
この演習では、児童青年期における発達臨床および臨床心理的な問題を取り上げます。具体的には、発達障害、愛着障害、適応障害等の障害の他,いじめや不登校、虐待、家族内の問題等です。これらの問題に関する症例報告や臨床研究に関する論文の抄読により、双方向対話型形式の演習を行います。また、論文を短くまとめて発表する方法により、要点を押さえたプレゼンテーションの基本についても学びます。
 
◇臨床心理学概論◇
この授業では,臨床心理学、特に児童思春期の子どもとその家族に対する心理療法に関する基本的な知識を習得することを目的とします。心理臨床は教育領域や医療機関等様々な場所で行われており、そこでは心理臨床の専門家だけでなく様々な専門家が働いています。さらに、心理臨床の専門家の中にも、異なる様々な専門分野や背景があるため、異なる立場や背景を互いに理解し、尊敬し合い、チームとして協働して働いていくことが重要です。そのため、この授業では、多職種及び異なる背景を持つ心理臨床の専門家と協働していくために必要最低限の知識を体系的に学ぶことを目的とします。また、単なる知識の獲得にとどまらず、具体的な事例を用いたグループディスカッションやワーク等を通じて、臨床心理学における考え方やものの見方等の能力を身に着けることを目指します。

◇発達心理学特論E◇
この演習では、臨床発達支援の基本的で重要な視点を理解すると共に、臨床発達心理学の最新の動向や研究を理解することで、臨床発達支援に役立てることを目的とします。本演習は、様々な資料を探索して、発表・討論する方式で進めていきます。特定の文献を購読するのではなく、参考書を中心に授業計画に示した項目に従ったジャンルについて,自主的に文献を選択し、発表し、他の参加者と討論していきます。
業績
論文(査読有)
1.    Goto R, Fujio M, Matsuda N, Fujiwara M, Nobuyoshi M, Nonaka M, Kono T, Kojima M, Skokauskas N, Kano Y (2019) The effects of comorbid Tourette symptoms on distress caused by compulsive-like behavior in very young children: a cross-sectional study. Child Adolesc Psychiatry Ment Health, ;13:28. doi: 10.1186/s13034-019-0290-3. eCollection
2.    Hamamoto Y, Fujio M, Nonaka M, Matsuda N, Kono T, Kano Y (2019) Expert consensus on pharmacotherapy for tic disorders in Japan, Brain and Development, 41, 501-506.
3.    Kano Y, Matsuda N, Nonaka M, Fujio M, Kono T, Kaido T (2018) Sensory phenomena and obsessive-compulsive symptoms in Tourette syndrome following deep brain stimulation: Two case reports, J Clin Neurosci, 6, 199-201.
4.    信吉真璃奈, 金生由紀子, 松田なつみ, 河野稔明, 野中舞子, 藤尾未由希, 下山晴彦(2018) 日本語版感覚ゲート尺度 (SGI) の信頼性と妥当性の検討, 心理学研究, 89, 507-513.
5.    Matsuda N, Kono T, Nonaka M, Fujio M, Kano Y (2016) Self-initiated Coping with Tourette’s Syndrome: Effect of Tic Suppression on QOL, Brain & Development, 38, 233-241.      
6.    松田なつみ・河野稔明・野中舞子・藤尾未由希・金生由紀子 (2015) トゥレット症候群におけるチックへの自己対処の分類—前駆衝動と半随意性に着目して—児童青年精神医学とその近接領域, 56, 96-113.
7.    Kano Y, Matsuda, N, Nonaka M, Fujio M, Kuwabara H, Kono T (2015) Sensory Phenomena in Relation to Tics, Obsessive-compulsive Symptoms, and Global Functioning in Patients with Tourette Syndrome, Comprehensive Psychiatry, 62, 141-6.
8.    Kano Y, Kono T, Matsuda N, Nonaka M, Kuwabara H, Shimada T, Shishikura K, Konno C, Ohta M (2015) The impact of tics, obsessive-compulsive symptoms, and impulsivity on global functioning in Tourette syndrome. Psychiatry Research. 226, 156-61.
9.    Nonaka M, Matsuda N, Kono T, Fujio M, Scahill L, Kano Y (2015) Preliminary study of behavioral therapy for Tourette Syndrome patients in Japan. Children’s Health Care, 44, 293-306.
10. 吉田沙蘭・野中舞子・松田なつみ・野田香織・平林恵美・西村詩織・下山晴彦 (2014) 児童思春期の強迫性障害に対する認知行動療法プログラムの開発, 精神科治療学, 29, 805-810.
11. 松田なつみ (2013) トゥレット症候群のチックへの自己対処の機能と対処の生じる文脈——半随意的な症状にいかに対処していくのか——, 発達心理学研究,24, 250-262.
12. 野中舞子・金生由紀子・松田なつみ・河野稔明・下山晴彦 (2013) 音声チックを有する児童・生徒への対応についての教員の認識——通級指導教室・特別支援学級の教員を対象として——,臨床心理学, 13, 849-855.
13. 川崎隆・末木新・松田なつみ・野中舞子・高山由貴・梅垣佑介・下山晴彦 (2013) 曝露反応妨害法への取り組みの変容—児童思春期強迫性障害患者を対象に——, 心理臨床学研究, 31, 199-210.
14. Matsuda, N., Kono, T., Nonaka, M., Shishikura, K., Konno, C., Kuwabara, H., Kano, Y. (2012) Impact of obsessive-compulsive symptoms in Tourette's syndrome on neuropsychological performance, Psychiatry and Clinical Neurosciences, 66, 195-202.
15. 野中舞子・河野稔明・菊池なつみ・桑原斉・島田隆史・金生由紀子 (2011) トゥレット症候群に関する教員の認識及び経験——特別支援学級と通常学級の比較—— 児童青年精神医学とその近接領域, 52, 61-73.
16. 菊池なつみ・野中舞子・河野稔明・桑原斉・島田隆史・金生由紀子 (2010) トゥレット症候群に関する情緒障害通級指導学級担当教諭の認識及び経験, 児童青年精神医学とその近接領域, 51, 539-549.
論文(査読無)
17. 山本瑛美・松田なつみ・高岡佑壮・藤尾未由希・下山晴彦 (2014) 家族から見た発達障碍の理解と支援, 東京大学大学院教育学研究科臨床心理学コース紀要, 37, 41-48.
18. 矢野玲奈、小倉加奈子、安婷婷、松田なつみ (2013) ERPが進むとき-子どものOCDプログラムを担当したセラピストの語りの分析-,東京大学大学院教育学研究科臨床心理学コース紀要, 36, 41-48
19. 高岡佑壮・藤尾未由希・野中舞子・松田なつみ(2012) 発達障碍を有する人への臨床心理学的援助の課題—ライフステージを通した支援を目指して—,東京大学大学院教育学研究科臨床心理学コース紀要, 35, 65-72.
20. 野田香織・菊池なつみ・津田容子 (2011) 特集:児童思春期の強迫性障害の認知行動療法プログラムの研究 児童思春期の強迫性障害の認知行動療法プログラムの研究5——複合的なアプローチを要する事例への対応—— 東京大学大学院教育学研究科臨床心理学コース紀要, 34, 61-67.
書籍等出版物
21. 日本発達障害連盟 (編集) (2018) 発達障害白書2019年版, 明石書店, 担当箇所: 松田なつみ, チックの基本を理解する、pp57.
22. 稲垣真澄, 松田なつみ, 藤尾未由希, 菊池良和, 原由紀, 原恵子, 北洋輔, 中井昭夫, 岩永竜一郎(2018) 発達障害医学の進歩 顕在化しにくい発達障害の早期発見と支援に向けて, 公益社団法人日本発達障害連盟出版, 担当箇所: 松田なつみ, チックの基本を理解する, pp8-18.
23. 平岩幹男, 岡明, 神尾陽子, 小枝達也, 金生由紀子 (編集)(2016)データで読み解く発達障害, 中山書店, 担当箇所: 松田なつみ・金生由紀子, Tourette障害「必要な検査」「治療と療育」, pp76-77, 78-79. 
24. Kano, Y., Kono, T., Matsuda, N., Nonaka, M., (2013) Investigation on dimensions of obsessive-compulsive symptoms in patients with Tourette Syndrome Crowe, E. M., O’Dell, A. R. (編) Obsessive-compulsive disorder —Symptoms, Prevalence and Psychological Treatments. New York:Nova Biomedical, pp185-195.
25. 下山晴彦・林潤一郎(編集)(2012) 迷わず学ぶ 認知行動療法ブックガイド 岩崎学術出版社, 担当箇所: 松田なつみ pp34-35, 164-165.
学術雑誌又は商業誌における解説・概説
26. 松田なつみ・金生由紀子(2017) 身体をゆする・頭を打ちつける・チック・トゥレット症など——身体を動かすクセ, 特集子どもの困ったクセ, 児童心理, 71, 58-67.
27. 川崎舞子・野中舞子・松田なつみ・菅沼慎一郎 (2014) 海外文献抄録, 精神療法, 40, 177-181
28. 松田なつみ・金生由紀子 (2013) トゥレット症候群の支援と治療, -特集児童青年期精神障害への対応-, 最新精神医学, 18, 39-47.
受賞歴
29. 日本児童青年精神医学会・平成28年度(第8回)研究奨励賞 
『トゥレット症候群におけるチックへの自己対処の分類—前駆衝動と半随意性に着目して—』(児童青年精神医学とその近接領域,56,96-113.(2015))他の業績に対して
30.2017年BESETO Poster Award, 6th BESETO steering committee
経歴
■経歴
2009年 東京大学教育学部教育心理学コース 卒業
2011年 東京大学大学院教育学研究科臨床心理学コース 博士前期課程 修了
2014年 東京大学大学院教育学研究科臨床心理学コース 博士後期課程 修了
2014年 東京大学医学部付属病院こころの発達診療部 臨床心理士
2017年 東京大学大学院医学系研究科こころの発達医学分野 日本学術振興会特別研究員(RPD)
■所属学会
日本児童青年精神医学会
日本心理学会
日本認知・行動療法学会
日本心理臨床学会
日本発達心理学会
■資格
臨床心理士・公認心理師・保育士・Certificate of Completion Tourette Syndrome Behavior Therapy Institute (TS-BTI)(チックに対する行動療法を実施するための資格)
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