学びの内容

ウチミザキ タカコ

内海﨑 貴子 教授(副学長)

専門分野

教育学(人権教育・ジェンダー平等教育)、キリスト教と女子教育研究

自己紹介・学生へのメッセージ

 茨城県で生まれ、大学入学と同時に東京で生活し、千葉県を経てまた茨城県に戻り、仙川まで通勤しています。前任校では、教職課程で幼稚園から高等学校までの教員養成を担当していました。キリスト教との出会いは大学時代です。大学院在学中から、カトリック教育学会の仕事をしていました。シャルトル聖パウロ修道女会とのご縁もその時からです。
専門は教育学で、特に人権教育とジェンダー平等教育を中心に研究と教育活動を行っています。私の研究は、明治期の女子教育=良妻賢母教育研究から始まりました。日本の良妻賢母思想には、キリスト教の女性観が影響していますので、白百合の「建学の精神」、その歴史にも関心があります。
また、2000年ごろから、「差別体験授業」というワークショップ型の教育方法を開発し、現在も大学の授業や教員研修、自治体職員研修などで実践しています。「差別体験授業」に関する記事は、以下のURLで見ることができます。ご参照ください。
 
 
学生の皆さんには、在学中の4年間という「時間」を大切に使ってほしいと思います。たくさんの経験をして、いろいろな人やものと出会ってください。あるいは、自分のことをじっくり見つめる機会を作ってもよいと思います。
担当科目
宗教学ⅡZ・宗教学ⅣZ ジェンダー基礎論 女性と人権
担当科目の内容
宗教学ⅡZ・宗教学ⅣZ
授業では、近代日本における女子教育の歴史をキリスト教とのかかわりから概観します。近代学校教育制度の導入に伴い、女子にも教育の機会が開かれましたが、そこには、キリスト教に基づく西欧の女性像・女子教育の在り方が影響しています。その影響は、女性の職業教育や家庭教育にまで広がっていきます。その軌跡を振り返りながら、本学の建学の精神についても再考します。
また、教科化された道徳と宗教とのかかわりについても、回勅「ラウダート・シ」、SDGsに示されている人権・ジェンダーの視点から考えていきます。
 
ジェンダー基礎論
この授業は、ジェンダーの基礎的・基本的知識を習得し、ジェンダーの視点から日常生活で起こる様々な問題を検討できるようになることをめざしています。まず、家庭や学校などで形成された、自分のジェンダーに気づくことから始めます。絵本分析や学校教育の振り返りを行い、性差別の実態と構造を理解しながら、ジェンダーの基礎理論を学びます。
次に、歌詞分析による男女の関係性や家庭観・結婚観の変容などから、日本の女性の地位の変遷を概観します。その後、性と生殖の健康、生殖技術と女性の身体を取り上げ、一人ひとりの個性と能力が尊重・発揮される社会とジェンダー平等の実現について学びます。
 
女性と人権
この授業は、ジェンダー・女性学の視点から女性や子どもに対する暴力について考え、女性と子どもの人権を尊重する意識の形成をめざしています。まず、女性学・ジェンダー研究に必要な知識を確認し、ジェンダー化される身体について解説します。コルセット、纏足、ダイエットなどを事例として取り上げ、女性の身体に対する暴力の形態と構造を学びます。
次に、身近に潜む女性と子どもへの暴力について、デートDV・DV、スクール・セクシュアル・ハラスメントを取り上げ、女性への暴力の背景と構造を学びます。暴力再生産の視点から、DV環境下の子どもの問題にも触れ、被害者にも加害者にもならないような子どもの成育環境について学びます。
業績
〈著書〉
  • 諸富義彦監修『カウンセリング・テクニック2「気にしたい子」「困っている子」と関わるカウンセリング』(共著・分担)ぎょうせい、2022年
  • 内海﨑貴子編著『新・教職のための教育原理』(共著)八千代出版、2021年
  • 内海﨑貴子、岡明秀忠、亀井明子、蔵原三雪、田中裕、井口博『スクール・セクシュアル・ハラスメント-学校の中の性暴力-』八千代出版、2019年
  • 内海﨑貴子編著『教職のための道徳教育』(共著)八千代出版、2017年
  • 内海﨑貴子編著『教職のための教育原理』(共著)八千代出版、2015年
  • 山﨑準二、矢野博之、内海﨑貴子ほか『新・教職入門』(共著)学文社、2014年
  • 山崎英則、八並光俊、赤星晋作、内海﨑貴子ほか『迷惑なひと・ことは教育の救世主-事例から学ぶ教育の方法論-』(共著)あいり出版、2013年

〈論文、その他〉
  • 「男女共同参画と女性学」川村学園女子大学女性学研究所『教育研究奨励報告書』2022年3月、pp.115-122
  • 「SDGsと教員養成」川村学園女子大学女性学研究所『教育研究奨励報告書』2022年3月、pp.105-113
  • 「生徒指導における『チーム学校』活用の可能性」『川村学園女子大学教職センター年報』創刊号、2018年2月、pp.3-20
  • 「『性の多様性』を教材とした『特別の教科道徳』における人権教育」立教大学 学校・社会教育講座教職課程『教職研究』第30号、2018年2月、pp.9-23
  • 「教職科目『道徳教育の指導』における人権教育実践-ユニセフ『子どもの権利条約カード』を用いたアクティブ・ラーニングの試み-」立教大学 学校・社会教育講座教職課程『教職研究』第29号、2017年4月、pp.25-38
  • 「ICTを活用した教職科目『生徒指導』の授業展開-アクティブ・ラーニングの試み-」『川村学園女子大学研究紀要』第28巻第2号、2017年3月、pp.153-176
  • 「セクシュアル・マイノリティの視点を取り入れた男女平等教育教員研修の試み-我孫子市教育委員会現職教員研修を事例として-」『川村学園女子大学女性学年報』第6号、2015年7月、pp.119-137
  • 「教職課程科目『道徳教育の指導法』における授業実践-学習指導案の作成と模擬授業を中心として-」立教大学 学校・社会教育講座教職課程『教職研究』第26号、2015年4月、pp.131-145
  • 「ジェンダー視点を持つ教師の養成-その必要性と短期大学幼児教育科での取り組み-」(共著)『日本教師教育学会年報』第21号 2012年9月、pp.63-70
  • 「人権教育としてのセクシュアリティ教育-教育実践に取り組むために」『女も男も 2019年秋・冬号 No.134 セクシュアリティ教育』労働教育センター、2019年12月、pp.18-24
  • 「教育実習におけるセクシュアル・ハラスメント」『女性労働研究第63号#Me Tooの先へ-ジェンダー権力に亀裂を入れる-』すいれん社、2019年3月、pp.160-166
  • 「ジェンダーの視点から見た教員のワーク・ライフ・バランス」教育と医学の会編『教育と医学No.783』慶応義塾大学出版会、2018年9月、pp.34-42
  • 「性の多様性と学校教育-子どもの性的権利の視点から-」子どもと健康編集委員会『子どもと健康No.107』労働教育センター、2018年7月、pp.42-58
  • 「フェミニズム研究とジェンダー研究」日本教師教育学会編『教師教育研究ハンドブック』学文社、2017年10月、pp.114-117
経歴
経歴
川村学園女子大学教育学部児童教育学科教授を経て現職

所属学協会
日本カトリック教育学会(常任理事)、日本教育学会、日本女性学会、日本教師教育学会、子ども社会学会
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