学びの内容

児童文学専攻

児童文学を文学として研究する

児童文学という文学の一つのジャンル。これを読むことは、楽しいことです。そして、これを研究することは、児童文学がどのような特徴や機能を持った「文学」なのかを問うことであり、また、「子ども」という存在がそれぞれの時代や社会でどのように認識されてきたか、どのように扱われてきたかを知ることです。それは、人間の原型、基本を理解することでもあります。児童文学には、絵本、童話、小説、演劇、詩と童謡、伝承文学など、さまざまな形態があります。また、日本や英語圏だけでなく、ドイツや北欧などのヨー
ロッパや韓国などのアジアの児童文学も、注目されています。児童文学の批評・研究が確立されたのは、主として1960年代以降であり、新しい学問といえるでしょう。そのパイオニアとして、未知の領域を開拓することは、児童文学を学ぶ者にとって大きな魅力なのです。

学際的研究から独自の視点を探究する

児童文学研究科は、教育学、心理学、文化人類学、社会学、歴史学などの研究成果を組み込んだ学際的な研究に発展してきています。本専攻でも、文学研究の基礎である文学史や作家論にとどまらず、最新の文学理論によるアプローチを試みることによって、児童文学独自の批評・研究の確立を目指しています。少人数の演習や講義によって、昔話、ファンタジー、日本の童話などそれぞれの重要な研究方法を学び、具体的な作品を分析し、理解を深めていきます。また、児童文化について、絵本、マンガ、アニメ、ゲームなど多様なメディアを研究対象とすることも特徴の一つです。希望すれば、学部の児童文学・文化専攻で開かれている数多くの科目から選択して聴講することもできます。本学は、児童文学・文化の研究機関としてユニークな「児童文化研究センター」を設置しています。教員と大学院生がともに参加して教育と研究の活動を進めています。

教育研究上の目的

【博士課程(前期)】

児童文学専攻(博士課程(前期))は、児童の環境を形成する児童文学・児童文化の研究を通して、想像力と創造力に基づいた専門的知識をもった人材の養成を目的とする。

【博士課程(後期)】

児童文学専攻(博士課程(後期))は、児童の環境を形成する児童文学・児童文化の研究を通して、想像力と創造力に基づいた専門的知識および高度な研究能力をもった人材の養成を目的とする。

修了認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

児童文学専攻は、学生が修了する時点において、博士課程(前期)・博士課程(後期)それぞれの課程修了の要件を満たし、かつ、学業成績並びに学位論文に基づき、以下の能力を身につけたと認められる者に対し、それぞれ修士(文学)、博士(文学)の学位を授与する。

【博士課程(前期)】
1)児童文学および児童文化に関する広い視野と高度な知識に基づいた思考能力。
2)研究倫理を遵守し、専門分野に関する適切な研究方法に従って、情報収集を行う能力および文献・資料を読み解く能力。
3)独自性のある研究成果を導き出し、それを的確な表現力をもって発信する能力。
4)専門分野に関する社会的要請を理解し、専門的な知識に基づいて現実的諸問題に対応する能力。
 

【博士課程(後期)】
1)児童文学および児童文化における深い学術的知見に基づき、独自の研究課題を追求する能力。
2)博士課程(前期)で培った調査力・分析力・考察力をさらに発展させ、独創的かつ自立した研究を遂行し、その成果を正確かつ高度な表現力をもって発信する能力。
3)専門分野およびそれらに隣接する領域の動向に関心を持ち、柔軟な想像力・創造力を用いて学問的・実践的諸問題に対応する能力。
4)専門分野に関する社会的要請を理解し、実践および研究・教育の場において、精深な学識に基づいて寄与・貢献する能力。

論文審査基準

上記の目標を踏まえ、修士論文・博士論文は、以下の基準によって評価される。

【修士論文】
1)児童文学または児童文化の研究における学術的寄与および知見の社会的意義
2)研究テーマの学問的意義の適切性
3)先行研究の参照の適切性
4)研究方法の適切性
5)収集した資料の質および量とその分析・解釈の適切性
6)論文の構成の適切性
7)論旨の明確性と一貫性
8)文章の表現・表記や図表・画像等の書式の適切性
9)研究の倫理的適切性

【博士論文】
1)児童文学または児童文化の研究における高度の学術的寄与および知見の社会的意義と具体的な貢献の可能性
2)研究テーマの学問的意義の適切性
3)先行研究の参照の適切性
4)研究方法の適切性
5)収集した資料の質および量とその分析・解釈の適切性
6)論文の構成の適切性
7)論旨の明確性と一貫性
8)文章の表現・表記や図表・画像等の書式の適切性
9)研究の倫理的適切性  

教育課程の編成及び実施に関する方針(カリキュラム・ポリシー)

 児童文学専攻では、修了認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)に掲げる能力を身につけるため、以下のように教育課程を編成・実施する。

【博士課程(前期)】

1)学生が児童文学・児童文化に関する専門的な知識や理論および研究方法を身につけ、自らの想像力・創造力を発展させるために、児童文学・文化に特化した科目を設置する。
2)学生が学修の成果を修士論文にまとめるために、「修士論文指導」科目を設置する。学生は複数の教員の指導を受け、「課程修了および学位取得スケジュール」に基づき、本専攻の修士論文審査基準にしたがって、修士論文を執筆していく。
3)学生は、本学附属の「児童文化研究センター」が刊行する『児童文化研究センター研究論文集』(査読制)への投稿や、修士論文発表会への参加を通じて、論文のまとめ方や発表の仕方を学ぶことができる。
4)学生は、「児童文化研究センター」が主催する各種プログラム(研究会、講演会、プロジェクト等)への参加を通じて、専門分野に関する社会的要請を理解することができる。
 

【博士課程(後期)】

1)学生が児童文学・児童文化の専門的な研究の成果として博士論文を作成するために、「研究指導」科目を設置する。学生は複数の教員の指導を受け、「課程修了および学位取得スケジュール」に基づき、本専攻の博士論文審査基準にしたがって、博士論文を執筆していく。
2)学生は、本学附属の「児童文化研究センター」が刊行する『児童文化研究センター研究論文集』(査読制)への投稿や、研究発表会への参加を通じて、論文のまとめ方や学会等での発表の作法を学ぶことができる。
3)学生が児童文学・児童文化固有の各ジャンルに適した研究方法を身につけるために、必修科目「児童文学研究法」を設置する。学生は、必要に応じて、博士課程(前期)科目を履修し、研究の基礎となる知識や理論を幅広く拡充することもできる。
4)学生は、「児童文化研究センター」が主催する各種プログラム(研究会、講演会、プロジェクト等)に参加して内外の研究者と交流することによって、専門分野に関する社会的要請を理解し、専門領域ならびに関連領域に関する最新の学問動向に触れることができる。 

入学者の受け入れに関する方針(アドミッション・ポリシー)

【博士課程(前期)】

児童文学・児童文化の研究の前提となる基本的な知識を備え、専門分野における研究に意欲を持つ人。そうした研究を通して自らの想像力・創造力を発展させることおよび社会の発展に寄与することを希望する人を求めます。

【博士課程(後期)】

児童文学・児童文化の研究の前提となる基本的な知識を備え、専門分野における研究に意欲を持つ人。そうした研究を通して自らの想像力・創造力を発展させることおよび社会の発展に寄与することを希望する人。博士課程(前期)における学修を基礎に、より高度な研究を目指す人を求めます。 

 

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