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村中 由美子 准教授

専門分野
20世紀フランス文学、文学と美術

自己紹介・学生へのメッセージ

20世紀フランス文学、とりわけマルグリット・ユルスナールの作品を研究しています。この作家の代表作は古代ローマの皇帝が語る虚構の自伝として書かれた『ハドリアヌス帝の回想』(1951)で、シュルレアリスムやヌーヴォー・ロマンといった前衛的な文学が注目されがちな時代において、古典古代の深い学識に裏付けられた独自の重厚な文学世界を構築したというのがこの作家についての定説です。その一方で、作家たちはもとより芸術家、知識人のあいだで戦間期に一大ブームとなったギリシア旅行に熱狂するなど、ユルスナールは同時代人の動向に対して無関心というわけではありませんでした。 « L’esprit du temps »、すなわち時代精神からこの作家が常に一定の距離を保ちつつも、それを無視することはせずに作品を紡いでいった過程を、同時代の文学・芸術潮流も参照しつつ明らかにしたいと考えています。

高知県生まれ。ユルスナールの蔵書研究のため、学生時代にはアメリカメイン州マウント・デザート島の作家の家を訪れることができました。学生のみなさんにも、遠くの世界、広い世界に自分を導いてくれるような対象との出会いがあることを願っています。

担当科目

フランス語フランス文学科

  • 1年フランス語ⅠAB・ⅡAB
  • 2年フランス語ⅠA・ⅡA
  • 2年次アトリエⅠD /フランス語アトリエA
  • 専門ゼミⅠ・Ⅱ

大学院 フランス語フランス文学専攻

  • オムニバスA

担当科目の内容

フランス語フランス文学科

専門ゼミⅠ・Ⅱ

フランスは映画発祥の国です。とりわけ1950年代末から1960年代初頭に発生したヌーヴェル・ヴァーグと呼ばれる運動は、従来の映画産業や形式に反発しながら革新的な表現を追求し、今なお世界の映画に影響を与え続けています。ところが、近年、ある研究者によってヌーヴェル・ヴァーグの映画は「男性単数形」なのではないか、という批判がなされました。このゼミでは、この問題提起を念頭にさまざまなフランス映画を鑑賞し、感想を出し合いながら、知らないうちに内在化している偏見や固定観念に気づくことを目指します。フランス映画を通して生きたフランス語に触れ、文化の違いを発見することで、自らを相対化するまなざしも身につけます。今年度は、アニエス・ヴァルダの作品を取り上げます。

2年次アトリエID/フランス語アトリエA

この授業では、初級文法を復習しながら、フランス語でスピーチする力を修得します。さまざまなテーマについて自分の考えを述べたり、他の人のスピーチを聞いて質問する能力を身につけることで、フランス語の発信力を磨きます。単語テストを随時行い、語彙力も強化します。フランス語発表会のスピーチ部門への参加や、留学を考えている人にとっての格好の準備にもなるでしょう。

大学院 フランス語・フランス文学専攻

オムニバスA

ミシェル・フーコーの提唱する「ヘテロトピア」としての庭を出発点として、文学作品に登場する庭の表象をたどると同時に、現役の美学研究者/庭師の方をお呼びして実際の庭ができるまでのお話を伺います。「ヘテロトピア」とは、日常のなかにありながら外部へとつながる異質な場所のことで、フーコーはまずその例として庭を挙げています。古今東西さまざまな文学作品のなかで、庭はどのように描かれ、機能し、作家の美学の実現に寄与しているでしょうか。また、実際に庭は歴史的、文化史的に、人々のものの見方にどのような影響をもたらしてきたのでしょうか。庭というキーワードのもと、フランス文学を出発点に、日本の古典と近代文学、英文学、アラブ文学、児童文学、キリスト教学の世界を旅するオムニバス授業です。

業績

研究論文

  • « L’Œuvre au Noir de Yourcenar et la peinture — autour de la genèse textuelle et de l’école flamande — », (「ユルスナールの『黒の過程』と絵画 — テクストの生成とフランドル派をめぐって」)、『日本フランス語フランス文学会関東支部論集』、日本フランス語フランス文学会関東支部、第20号、2011 年、pp. 101-114.
  • « Motif du miroir et représentation de soi à travers L’Œuvre au Noir et Le Labyrinthe du monde de Marguerite Yourcenar »(「鏡のモチーフと自己表象 — マルグリット・ユルスナールの『黒の過程』と『世界の迷路』をめぐって」)、『フランス語フランス文学研究』、日本フランス語フランス文学会、第102号、2013 年、pp. 105-120.
  • « Marguerite Yourcenar, lectrice d’Oscar Wilde — L’exemplaire du De Profundis conservé dans la ‘‘Petite Plaisance’’ — »,(「オスカー・ワイルドの読者、マルグリット・ユルスナール —《プティット・プレザンス》に保存された『獄中記』—」)、『フランス語フランス文学研究』、日本フランス語フランス文学会、第105 号、2014 年、pp. 165-180.
  • « Le démon de l’intemporalité ou la stratégie de Marguerite Yourcenar envers la notion de contemporain »,(「非時間性という問題、あるいは同時代という概念に対するマルグリット・ユルスナールの戦略」)、L’Année Mosaïque : Revue de jeunes chercheurs en sciences humaines(人文系若手研究者による雑誌『モザイク年報』)、EME 出版(ベルギー・Fernelmont)、n° 3、2014 年、pp. 29-40.
  • « Marguerite Yourcenar et Charles Du Bos. Étude de leur correspondance aux États-Unis et de son implication sur l’écriture des Nouvelles orientales (1938) », (「マルグリット・ユルスナールとシャルル・デュ・ボス — 二人の作家がアメリカで交わした書簡が『東方綺譚』[1938] にもたらしたもの」)、『仏語仏文学研究』、東京大学フランス語フランス文学研究室、第47 号、2015 年、pp. 45-59.
  • « Un témoignage inédit de la découverte de l’Antiquité par Marguerite Yourcenar. L’ « Album de vers anciens » et le recueil de ses poèmes de jeunesse », (「マルグリット・ユルスナールによる古代の発見を示す未刊の作品 —『古代詩篇』と若き日の詩集」)、『仏語仏文学研究』、東京大学フランス語フランス文学研究室、第48 号、pp. 49-73、2016 年.
  • « L’Écriture baroque de Marguerite Yourcenar — Une analyse du thème de l’inversion dans Feux (1936) », (「マルグリット・ユルスナールのバロック的エクリチュール — 『火』[1936]における倒錯のテーマの分析」)、『仏語仏文学研究』、東京大学フランス語フランス文学研究室、第50号、2018年、pp. 133-150.
  • 「ペルソナとしてのギリシア神話— 二人の女性作家、マルグリット・ユルスナールとクロード・カーアンが「私」を語るとき」、篠田勝英・海老根龍介・辻川慶子(編)『引用の文学史—フランス中世から二〇世紀文学におけるリライトの歴史』水声社、2019年、pp. 284-301 ほか.
  • 「『ウェイリー訳『源氏物語』という《接触界面》とジェンダー観の屈折』―ヴァージニア・ウルフとマルグリット・ユルスナールをめぐって」、稲賀繁美編『映しと移ろい 文化伝播の器と蝕変の実相』花鳥社、pp. 481-496、2019年.
  • 「マルグリット・ユルスナールとギリシャ詩人カヴァフィス ギリシャへのまなざしの諸相」『仏語仏文学研究 中地義和先生退職記念特集号』、東京大学フランス語フランス文学研究室、第55号、pp. 305-321、2022年.
  • 「マルグリット・ユルスナール『黒の過程』の思索と方法」、稲賀繁美編『蜘蛛の巣上の無明 インターネット時代の身心知の刷新にむけて』花鳥社、pp. 71-81、2023年.
  • « Le jardin comme lieu inspiré par la pensée orientale chez Marguerite Yourcenar – À la lumière des concepts de Gilles Clément »,(東洋思想に触発された庭の表象 ― マルグリット・ユルスナールをジル・クレマンの概念に照らして ―Lublin Studies in Modern Languages and Literature, 49 (2), Maria Curie-Skłodowska University Press, 2025, pp. 43-50.

翻訳書

  • パスカル・キニャール著『深淵』〈最後の王国3〉《パスカル・キニャール・コレクション》、水声社、2022年.

経歴

日本学術振興会特別研究員(PD、2016)、白百合女子大学非常勤講師(2016-2017)、東京外国語大学非常勤講師(2016-2019)、国際日本文化研究センター共同研究員(2017-)津田塾大学非常勤講師(2017-)、首都大学東京人文・社会系(現、東京都立大学人文学部)フランス語圏文化論教室助教(2017)を経て、2018年より白百合女子大学専任講師、2021年より現職。

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