白百合について

学長メッセージ紹介

「真・善・美」の奥深い世界へ、ようこそ。 

 私は白百合女子大学の教員として、すでに30年以上勤めていますが、学長になって改めて思うのは、この大学の良さをどれくらい感じているのだろう、ということです。学外から訪れた人たちは、ほぼ例外なく、緑豊かな美しいキャンパスを褒めてくれます。正門から入り、木立の間のゆるやかな坂道を登っていくと、まるで別世界に入り込んだような不思議な感覚を覚えます。しかし通い慣れた身には、そういう感覚は薄れてしまいます。これは大いに反省すべきことと、最近思うようになりました。

 白百合女子大学の建学の精神には、人間一人ひとりをかけがえのない存在として大切に思い、自ら進んで他に仕え、社会に貢献しようとする心の育成という内容があります。この大学を創ったのはシャルトル聖パウロ修道女会のマ・スール(修道女)たちですが、彼女たちはまさに「生きている建学の精神」でした。今は残念ながら日常のキャンパスでマ・スール方と出会うことはできませんが、かつてその姿を間近で見ていた私は、いつしかこれも当たり前のことのように思っていました。しかし、神に仕える身とはいえ、人としてこういう生き方ができるということは、実に感動的で、素晴らしいことではないでしょうか。
「白百合」は聖母マリアを象徴する花であり、気品と優しさ、強い意志と凛々しさを表しているとされます。本学の校章も白百合の花のデザインですが、よく見ると、真ん中に剣のような形が見えます。校歌にも「至誠の旗に正義のつるぎ」と唄われているように、祖国フランスを救ったとされる女性、ジャンヌ・ダルクに由来しています。個人的な解釈ですが、「白百合」は一面、闘う女性の象徴とも言えるかもしれません。これはもちろん乱暴な振る舞いをするという意味ではなく、内に強さを秘めているということです。本学は知性と感性との調和のとれた女性の育成をめざしていますが、そうした女性は内面の強さも兼ね備えていると言えましょう。

 白百合女子大学の良さは、実にさりげないところにあります。最近私は、本学の良さはまだまだ発見できる、そう思うようになりました。「真・善・美」(本学の教育目標です)の奥深い世界へ、ようこそ。
 
学長  猪狩 友一


学長室の窓から」へはこちら
Page Top