9月10日(木)、グローバルビジネスプログラム科目「ビジネス・マーケティング」集中講座の最終講義に、日清オイリオグループ株式会社 食品事業本部 ウェルネス食品事業戦略部長の大塚竜太氏をお招きしました。「変門来福(へんもんらいふく)~いい未来は、いい変化から。~」をテーマに、マーケティングの現場で重ねてきた試行錯誤と、キャリアの歩みについてご講演いただきました。
本授業では、身近な企業を題材に商品の企画・開発・販売を学び、企業への提案を通じて理解を深めてきました。締めくくりとなる今回は、ハーゲンダッツ、アスクル、ダノン、アップリカ、カルビー、日清オイリオの6社を経験した大塚氏から、企画を実際の仕事として形にする過程を伺いました。
現場に足を運び 顧客とつくり手の声を聞く
アスクル時代には、カタログを利用する顧客を訪ね、使い方や要望を直接聞くことを重ねたといいます。カルビーで「かっぱえびせん」を担当した際も、自ら工場へ足を運び、現場の人々と対話する中で、商品づくりへの誇りに触れました。そこで知った商品の価値を消費者に伝えることが、マーケティングの役割だと感じた経験が紹介されました。
広く知られた商品でも、購入する場面で思い出してもらえるとは限りません。ファンが参加する企画などを通して、買いたいと思うきっかけをつくる取り組みから、知名度を購買につなげる難しさと工夫を学びました。
広告から流通や採算まで 売れる仕組みを考える
ダノンでの経験として、広告で話題を集めても、店頭で商品を買える場所を十分に確保できず、事業の継続につながらなかった事例が紹介されました。また、カルビーでの自社通販の立ち上げでは、商品の原価に広告費などを加えると、利益を生み出しにくい構造に直面したといいます。
認知を広げるだけでなく、流通や販売の方法、採算まで見渡すこと。授業で学んだ製品・価格・広告・チャネルが、実務では互いに結びついていることが、具体的な経験を通じて示されました。
周囲を頼り 仲間とともに事業をつくる
大塚氏は、新しい仕事に取り組む際、自分の知識や経験が足りないことを率直に伝え、周囲の力を借りてきたと語りました。新規事業では、すぐに商品案を考えるのではなく、顧客へのインタビューから解決すべき課題を探ることを重視。腸内環境に応じたグラノーラを提供する「Body Granola」の立ち上げでも、社外の専門家や企業との協力を進めました。企画の実現を支える、対話や調整、信頼関係づくりの大切さが伝えられました。
変化を恐れず 選んだ道を育てていく
講義の最後には、「正解は探さない。選んだ道を、正解にしていく。」というメッセージが送られました。最初から思い通りの仕事に就けなくても、周囲を頼り、目の前の仕事に自分から関わることで、次の機会が開けていく。大塚氏は自身の迷いや失敗も交えながら、変化に一歩踏み出す意味を語りました。
質疑応答では、新規事業の立ち上げと既存事業の成長に必要な力の違いなどについて質問があり、どちらにも顧客理解が欠かせないことが示されました。学生にとって、マーケティングを支える地道な実務と、自分自身の将来の働き方を結びつけて考える機会となりました。